猫を飼っている家庭であれば、どの家庭においてもいつかは必ず訪れるのが看取りの機会です。愛猫と別れるのはとても悲しいことではありますが、後悔のないようにその時を過ごせるとよいですね。
本記事では、高齢猫がいる飼い主が知っておきたい最後の看取りの情報を解説。猫の寿命や亡くなる前のサイン、看取る準備や看取り方についてまとめています。
目次
猫の寿命はどのくらい?
そもそも、飼い猫の寿命はどのくらいなのでしょうか。近年の一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、飼い猫の平均寿命は15.66歳と言われています。
参考:一般社団法人ペットフード協会「令和3年 全国犬猫飼育実績調査」
7歳を超えてから「シニア期」に入るとされていますが、シニア期を迎えてからも長生きする猫が増えてきていることが、この調査結果からわかります。その一方で、野良猫の平均寿命については、正確な算出は難しいものの、病気や事故で命を落とす猫も多く、3〜4年程度と考えられています。
猫が亡くなる前のサインはあるの?
猫が亡くなる前にどのような行動をとるのか理解しておくと、猫は旅立ちのときが来るまでの日々を穏やかに過ごせます。そこで、ここでは猫が亡くなる前のサインと、亡くなった後にペットロスにならないための過ごし方について解説します。
猫が亡くなる前のサイン
猫は体調が悪くなってもそれを隠してしまうことが多く、家族が変化に気付きづらい動物です。しかし注意深く観察をしていれば、体調不良のサインを見逃さずに適切な対応がとれる可能性が高まります。
猫が体調を崩しているときには、まず以下のようなサインを出すことが多いでしょう。ただし、甘えてきたり、飼い主に話しかけるように鳴いたりする猫もいます。猫の様子を観察し、猫がストレスなく過ごせるよう接してあげてください。
- 家族から離れて過ごしたがる
- ご飯や水をとる量が減る
- 運動量が減るなどなんとなく元気がない
以下のような症状を出すときは、より重い状態のことが多いです。
- 目がうつろになる
- 下痢や嘔吐の頻度が増える
- 尿が漏れる
- 開口呼吸になる
- 体温が下がる
- 立てなくなる
【獣医師監修】老猫(高齢猫)が吐いているときにとるべき対応を解説!
また、猫が老衰してきたときの症状についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
【老猫の老衰】自宅で気づけるサインと、家族がしてあげられること
ペットロスを少なくするために
ペットロスとは、ペットを亡くした喪失感や悲しみの感情から立ち直れない状態のことです。一緒にいた家族がいなくなるため、多くの飼い主がペットロスを経験するでしょう。そして、そうした感情は自然なものです。自分の中で徐々に区切りをつけ、前を向いていくことが大切です。
しかし、ペットロスが重症化することもあり、日常生活に支障をきたすことも。その要因の1つに、愛猫に対する「後悔」があります。
たとえば、「亡くなる前に愛猫と過ごす時間がつくれなかった」「もっと早く動物病院に連れていけたら亡くならなかったかもしれない」など亡くなる前の後悔があると、ペットロスが長引きやすいといわれています。
愛猫に亡くなる前のサインが表われたら、後悔のないように十分に寄り添い、最後のお別れをしてくださいね。
愛猫を看取る準備
実際に愛猫を看取る時期が近づいてきたとき、飼い主はどのような準備をすればよいのか、解説していきます。
延命治療をするのか家族で決める
治る見込みのない病気であった場合に、治療をどうしていくべきなのか、積極的な延命治療をするのかどうか考えなければなりません。正解のない問題のため、家族がよく話し合い、家族の価値観にあった方針を選べるとよいですね。
延命治療をしないにしても、鎮痛剤の投与など苦痛の緩和を目的とした治療を行うことはできますので、その点も合わせて検討するようにしましょう。
最期を迎える場所を決める
死期が近いと思われる時、最期を自宅で迎えさせてあげるのか考えておきましょう。入院治療などを続けるのであれば、病院で亡くなる可能性が高まります。
最期は自宅で迎えさせたいということであれば、緩和治療が主体となることでしょう。延命治療をするかどうか考えるときは、担当の獣医師とよく相談し、最期をどこで迎えさせたいかも検討の材料とすると決めやすいかもしれませんね。
葬儀や供養方法を決める
実際に最期を迎える前に、ペット葬儀の手配や供養方法を考えることは不謹慎に感じる方もいるかもしれません。そう感じるのも自然な反応といえるでしょう。
しかし、猫の葬儀や供養の方法はさまざまで、家族が自分たちの価値観に合ったものを選択しなければなりません。家族全員が納得のいくお見送りができるように前もって話しておくことが大切です。
ペット火葬は立ち会いできるの?知っておきたい立ち会い火葬のこと
最期の看取り方
実際に愛猫が最期を迎えつつある、まさにそのとき。家族は猫とどう向き合えばよいのでしょうか。基本的には猫が望むままの形をくみとり、それに合わせて付きそうのが猫にとってよいでしょう。
猫の望む距離感を保つ
家族から離れたがるならば、静かに穏やかに過ごせる場所をつくり、愛猫が望む距離感を保ちながらそっと見守るようにしましょう。
優しく声をかける
反対に、家族に寄ってくるならば、抱っこをしたり、すぐそばにいながら寄り添ってあげたりするとよいでしょう。優しくなで、声をかけ、少しでも猫が心穏やかに過ごせるように寄り添えるとよいですね。
写真や動画で記録する
愛猫との大切な時間を残せるように、写真や動画で記録しておくことがおすすめです。飼い主のペットロスを癒してくれる大切な思い出として、保管しておきましょう。
また、病気を抱えた猫の場合には、容体の変化を確認できるツールになります。早期対応することで、快方に向かう可能性もあるでしょう。ただし、スマホやカメラを向けられての撮影がストレスになる猫もいるため、よく観察しつつ撮影するようにしてください。
愛猫が亡くなったあとにやること
悲しいことではありますが愛猫が亡くなってしまったら、葬儀や供養の準備を進めることになります。ここでは、愛猫が亡くなったあとにやることを解説します。
からだを清めて、冷やす
愛猫が自宅で亡くなった場合、動物病院に連れて行けそうであれば死亡確認をお願いしましょう。万が一のことがあってはいけません。
また、死亡確認がとれた後、動物病院でからだを清めてもらえることが多いです。
愛猫の遺体は、死後1~3時間程度で死後硬直がはじまります。そのため、その前に手足を優しく折り曲げてあげましょう。手足が伸びたままだと棺に入らない可能性があります。
飼い主自身が愛猫のからだを清めて、冷やす場合の詳しい方法は、以下の記事にまとめています。愛猫が生きている飼い主の方も、知識として理解しておくことがおすすめです。
関連記事:猫が亡くなったらどうする?葬儀までの流れをわかりやすく解説
葬儀の準備をする
一般的に、猫の葬儀はペット火葬業者による火葬が一般的です。
他の家庭のペットと一緒に火葬する合同火葬や、自分のペットだけで火葬する個別火葬などのプランが一般的です。プランによっては、お骨上げや返骨ができないケースもあるため、どのような葬儀が良いかについては、しっかり検討しましょう。
また、業者によってさまざまなプランがあるため、ホームページを確認するか問い合わせて確認してみましょう。
まとめ
命は、いつか必ず最期のときを迎えます。それはどの命にも、どの家庭の猫にも共通のことです。その一方で、看取りのときにどう寄り添えばいいのかという問題には、全家庭に共通する正解はありません。
寄り添い方に迷ってしまうときは、その時々で家族がしっかりと話し合い、価値観や心持ちにしたがって方針を決めることが大切です。そうして決めた方針は、その家庭にとっての正解となるはずです。家族の全員が後悔のない寄り添い方で、愛する猫に最期を迎えさせてあげられるとよいですね。