老猫の粗相には、病気やストレス、スプレー行動、トイレへの不満などさまざまな原因が考えられます。
まずは動物病院を受診して、腎臓病や膀胱炎など粗相の原因となる病気がないかチェックしましょう。
猫はトイレにこだわりを持つ動物です。トイレの大きさや高さ、置き場所、掃除具合、トイレ砂、屋根ドームの有無など、いろいろな視点からトイレ環境を見直してみてください。
今回は老猫の粗相について、原因や対応についてくわしく解説します。
目次
老猫の粗相で考えられる原因
老猫の粗相には、さまざまな原因が考えられます。ひとつひとつチェックしてみましょう。
腎臓、膀胱炎などの病気
急に粗相するようになった場合は、腎臓病や膀胱炎など病気を疑います。
トイレの掃除不足
猫はきれい好きで、トイレの汚れも大変気にします。汚れていると、トイレ以外で排泄することがあります。
トイレの場所が落ち着かない
洗濯機の音などで周囲がうるさい、人の出入りが激しいなども原因になります。
とくに多頭飼いの場合、邪魔をする猫がいるとトイレを使わないこともあります。単にトイレが遠い、ということだけでも嫌がります。人間でも落ち着かないトイレは嫌ですよね。
トイレが小さい
実はトイレが小さすぎて、排泄しづらいのかもしれません。 足をふちにかけて排泄している場合、トイレが狭いというサインの可能性が高いです。
トイレのふちの高さ
老猫によくあるのが、関節の痛みや筋力の低下で、トイレをまたぐのがつらいことです。今まではまたげていたトイレも、急にまたぐのが苦痛になることもあります。
トイレ砂が気に入らない
トイレ砂の触り心地や臭いが好みではない、猫砂が肉球に入り込んで痛い、不快だなどがあるとトイレでの排泄を嫌がります。ふかふかの毛布の上などに排泄してしまうかもしれません。
屋根やドームが苦手
屋根やドームが付いたトイレは、臭いがこもりがち。屋根やドームの圧迫感や狭さなども粗相の原因になります。
スプレー行動:ストレス、発情など
他にもスプレー行動やストレス、発情も考えられます。原因はひとつとは限らず、いくつかの原因が重なりあっていることもあります。
たとえば野良猫が庭に来るストレスが原因でスプレー行動をする、膀胱炎で頻繁にトイレに行くため、飼い主の掃除が間に合わないなどです。
老猫の粗相対策①動物病院を受診
老猫が粗相をするようになったら、まずは動物病院を受診しましょう。病気が原因で粗相をすることがあるためです。
腎臓病や膀胱炎
腎臓病(慢性腎不全)や膀胱炎にかかっていないかしっかり検査することが大切です。腎臓病の進行は少しずつですが、多飲多尿(たくさん水を飲んで、たくさんおしっこをする)という症状が出てくると要注意です。
そのため、トイレの汚れも早くなるため掃除が追い付かず、粗相の原因になることもあります。腎臓が機能を失うと元に戻すことはできませんが、早めの治療で進行を遅らせることができます。
ネコの膀胱炎は頻尿や血尿のほか、おしっこをする際に痛がるなどの症状が出ることもあります。膀胱炎は細菌感染によるものと、原因がはっきりしないものがあるので、獣医師の指示に従って治療をすすめましょう。
他にも足や腰周辺など関節の痛みや筋肉の衰えで、トイレのふちがうまくまたげなくなることも出てきます。トイレの改善と同時に治療をしてください。
老猫の粗相対策②トイレを見直す
病気があってもなくても、トイレの見直しや老猫をとりまく環境の見直しは大切です。トイレの大きさを変えただけで、粗相が改善できることもあります。
トイレの掃除回数を増やす
猫は大変きれい好きです。排泄したあとは、すぐに片づけるようにしたり、トイレそのものを洗ったりして清潔を保ちましょう。
トイレの場所と数を再確認
老猫が落ち着ける静かな場所、そして老猫が行き来しやすい場所に設置します。
多頭飼いの場合は、猫の数+1が基本です。1匹でも、2つトイレを用意しましょう。掃除ができない留守のときも安心です。
トイレの大きさをチェック
足をトイレのふちにかけて排泄している場合、猫にとってそのトイレが狭い可能性があります。猫がトイレのなかで回って、余裕がある大きさが適切です。猫の体長の1.5倍の大きさが目安です。
トイレの高さ改善
老猫もまたぎやすいように、トイレのふちが浅めのものを用意しましょう。または踏み台を置いてあげると楽になります。
トイレ砂の見直し
トイレ砂の好みは猫によっていろいろあります。実は今のトイレ砂がどうも気に入らず、つい粗相をしてしまうのかもしれません。いくつか種類を試して好みを探ってみましょう。
屋根・ドーム付きは外してみる
屋根やドームから顔を出して排泄している場合は、ドームが苦手に思っていることが多いようです。屋根やドームはいったん外して様子をみてください。
ストレスがないか探る
飼い主が留守しがちになった、家族が増えた、多頭飼いになった、庭に怖い猫が来るなど、老猫にとってのストレスはさまざまです。思い当たることがあったら、老猫が安心できるように環境を整えましょう。
老猫を叱らない
粗相をしても、老猫のことを叱らないようにしましょう。なぜ叱られているのか、猫にはわかりません。叱られることがストレスになり、粗相が悪化することもあります。
粗相をした場所は徹底的に掃除
臭いが残っていると、再び粗相をしてしまうことも。徹底的に掃除をして臭いを消しておきましょう。
どうしても治らない場合
何をやっても粗相が改善できない場合は、猫の行動にくわしい動物病院を受診して相談しましょう。フェロモン剤や薬で改善できる可能性があります。
まとめ:老猫の粗相は病気チェックとトイレ見直し
老猫の粗相、原因は病気やストレス、トイレそのものや環境などいろいろなことが考えられます。まずは病気がないかを動物病院を受診して確認しましょう。病気がある場合は治療をしつつ、病気がない場合も必ずトイレ環境の見直しをします。
掃除をこまめに、トイレの大きさや高さ、設置場所などさまざまな方向から見直しをしてみてください。