「犬もシニア期に入ったら食事の見直しを」「シニア期にこそ運動が大切」そんな言葉をよく聞くようになってきました。では、犬のシニア期はいったい何歳からなのでしょうか。老犬になると、からだにはどのような変化が起きるのでしょうか。この記事では、犬のシニア期について解説しています。
目次
老犬は7歳から
犬のシニア期というと一般的には7歳以降の期間を指すことが多いです。フードの変更や、より積極的な定期健診が推奨され始めるのも7歳からが目安となっています。犬の7歳を人の年齢に換算すると、小・中型犬は44歳、大型犬は55歳とされます。
詳しい計算式はこちらの記事で紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
シニア期に入ったサイン!何が変わる?
犬がシニア期に突入したら、どのような変化がからだに起きてくるのでしょうか。
筋肉量・骨量の低下
顕著なのは、筋肉量・骨量の低下です。関節炎や肥満、運動不足は、筋肉量・骨量の低下速度を早めます。体温の多くの割合は骨格筋が発する熱によって保たれていますので、筋肉が減ることで平熱も低下していきます。
必要なカロリー量の低下
運動量や基礎代謝量が低下するために、1日に必要なカロリー量の低下も生じます。一般的に、若い頃と比べると必要なカロリーは20〜30 %低下するといわれています。食が細くなるか、あるいは若い頃と同じフードを同じ量食べている場合は肥満へとつながっていきます。
そのほかにも消化機能や循環器の機能、五感の低下、認知機能の低下、毛や肌の質感が荒くなったり、環境の変化などへの順応力も低下したり、さまざまな変化が現れます。
シニア期に見直すこと
からだにさまざまな変化が生じるシニア期。からだの変化に合わせて暮らしも変えていかなければなりません。
運動習慣
まず大切なのが運動習慣です。筋肉量・骨量の減少速度を和らげるため、肥満を予防するためにも運動時間を確保することがとても大切です。シニア期に入ってから、一度落ちてしまった筋肉を再び増やすのは非常に難しく、無理をすれば怪我にもつながりかねません。負荷の少ない運動であったとしても毎日続けることが重要です。
普段の散歩コースに軽い坂道をとりいれたり、ボール遊びを加えたり、ドッグランで自由に走らせる時間を確保したりなどの工夫ができるとよいですね。
ただし、既に太り過ぎの犬は運動を嫌がる傾向が多く認められますし、無理に運動をさせれば関節への負荷が高まり怪我につながってしまうこともあります。その場合の運動は軽いものでいいので、ダイエットをさせることを優先しましょう。
ダイエット初期で最も重要とされるのは、運動ではなく食事管理です。ダイエット用の療法食を与えることが推奨されますので、動物病院に相談してみましょう。
食事
運動の次に大切なのがフードの見直しです。若い頃と比べて、必要な栄養の量やバランスが大きく変化しています。必要なカロリー量は低下する一方で、タンパク質は若い頃よりも少し多めに摂らせることが求められます。
シニア期には脂質の消化・代謝能力も低下しているため、フードも脂肪分を少なめに抑える必要がありますが、かといって必須脂肪酸は不足しないようにしなければなりません。
その他、食物中のリンの量も抑える必要があります。過剰なリンの摂取は腎機能の低下を招きます。リンは肉類や魚、卵、乳製品などに豊富に含まれていますので、これらの食材を与えている場合はより注意が必要です。
これまでにあげたような条件を、すべて手作り食で満たし、かつそれを毎日継続するのは相当に大変といえるでしょう。シニア期には専用に設計し、市販されている総合栄養食への切り替えを検討してみるとよいかもしれませんね。
医療
運動、食事ときた次は医療です。さまざまな病気が増えてくるシニア期には定期的な健診を受けさせることの重要性が、若い頃よりはるかに高まってきます。
1〜6歳の期間は1年に1回の健診が推奨されますが、7歳を超えてからは半年に1回の健診が推奨され始めます。犬にとっての半年に1回というのを人に換算すれば2年に1回(小・中型犬)、あるいは3年半に1回(大型犬)ですので、決して頻繁すぎるわけではないのです。
病気の早期発見・早期治療介入に役立つのはもちろんですが、健康なときの検査データを蓄積していくことで、将来に何か起きた時の診断精度やスピードを高めることにもつながります。ぜひ定期健診を受けさせてあげることをおすすめします。
生活習慣
年齢を重ねるにつれて、甘えん坊度や寂しがり度が増すことも少なくありません。心理的なストレスを低下させるためにも、家族が一緒にゆっくり過ごす時間を少しでも増やせるとよいですね。
また環境変化への順応性も低下してきますので、大掛かりな模様替えや引越しなどから受けるストレスは高まりがちです。そのため、模様替え・引越しを避けるに越したことはないですが、どうしても必要な時は、どこか一部だけでも前の環境と似たスペースを確保してあげられるとよいかもれません。
まとめ
犬は7歳を目安に老犬といわれるようになります。家族がシニア期に入ったことを認識し、的確にケアをしてあげることができれば、健康寿命を伸ばしてあげることができます。しっかりケアをしてあげ、愛犬と長く健康に一緒に暮らしていけるとよいですね。