老犬がくるくる回るのは、自分のしっぽを追うように回るのと、同じ方向に円を描くようにして回る場合があります。自分のしっぽを追うように回る動作は、排泄前のしぐさのほかに、しっぽやお尻に不快感がある、退屈なども考えられます。
また同じ方向に円を描くように回るばあい、認知機能不全(認知症)の可能性も高くなります。いずれにしても動物病院を受診すると同時に、ぶつかってもケガをしないよう部屋を安全にしてあげましょう。
今回は、そんな老犬がくるくる回る原因と対処法について解説していきます。
目次
老犬がしっぽを追ってくるくる回る!原因は?
老犬がしっぽを追ってくるくる回る原因を解説します。あまり頻度が高い場合は動物病院を受診してください。
排泄の前兆
トイレの上や散歩時に、ゆったりとくるくる回る場合はそれほど心配ではありません。ペットシーツの上に誘導し、ケガをしないよう見守ってあげましょう。
しっぽやお尻にトラブル
しっぽがかゆいなど皮膚の病気、肛門の左右にある袋状の器官、「肛門腺」に分泌液が溜まっているなどのトラブルがある可能性もあります。しっぽを噛む、肛門周囲から異臭がする、肛門を床などにこすりつけるしぐさが現れたら、動物病院を受診しましょう。
退屈やストレス
退屈やストレスで、くるくる回って、ストレスや不安を解消しています。ひどくなるとうなりながらくるくる回る、尾を噛むなどとエスカレートすることも。
意識して犬を遊ぶ時間を増やすようにしましょう。また老犬1匹でいるときは、知育玩具におやつを詰めて与えるなど対策を行うのがおすすめです。知育玩具は犬の大きさに合ったものを選び、誤飲しないよう十分注意してください。
脳のトラブル
高齢になってしっぽを追ってくるくる回るようになった場合は、脳腫瘍や脳梗塞などの疑いがあります。
同時に眼振(眼球が痙攣したように動くこと)が起こることもありますので、眼球の動きも確認しましょう。検査にはMRIなどが必要になるので、対応可能な動物病院で検査を行う必要があります。
前庭疾患
前庭疾患は耳の奥にある前庭器官に機能が上手くいかなくなることが原因で起こります。前庭器官はバランスをとる働きをしており、トラブルが起こると頭が傾く斜頸、眼振、くるくる回る旋回といった症状が起こります。ひどいめまいのような状態になっているので、嘔吐や食欲不振が起こります。
老犬が円を描くようにくるくる回る!
老犬が無目的に、くるくると部屋の中を歩き回る場合は、「認知機能不全」、人間でいう認知症の可能性が高いでしょう。他にも変わった動作がないか、気を付けて観察してください。
認知機能不全の可能性
無目的に円を描いてくるくる回る場合、犬の認知症「認知機能不全症候群」の可能性が高いです。ほかにも、壁があるのに進もうとしたり、慣れていたはずの場所で迷子になったりする症状がみられます。
動物病院を受診
認知症ではなく、脳の病気や内分泌系の病気が原因かもしれません。ボケてしまったと決めつけず、まずは動物病院を受診しましょう。検査の結果、内臓などの疾患の疑いがあればその治療を行います。
腎不全による尿毒症(有害物質が体内に蓄積し、脳に障害を与える病気)や、肝臓疾患による肝性脳症(アンモニアなど腸管の毒素が血液にたまり、脳に障害を引き起こす病気)などの場合も認知症に似た行動が起こります。認知機能不全以外の病気がないかを確認したうえで診断することが大切です。
認知機能不全症候群だった場合も、よく相談することで対応方法を指導してもらえます。
くるくる回る様子は、スマートフォンなどを使って動画に撮っておくと診察の助けになります。また飼い主も不安やストレスがたまるので、専門家に話を聞いてもらうことは効果的です。
部屋を安全に!
犬がくるくる回って、家具やドア、壁などにぶつかってケガをしないように予防しておきましょう。特にパグのような目が飛び出ているタイプの老犬は、目をぶつけないような配慮が必要です。
ローテーブルの角や老犬がぶつかりやすい場所にクッション性のあるものを付けたり、サークル内に、お風呂用マットを敷くのもおすすめ。小型犬は、人間の子供用プールに入れておくといいでしょう。
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くるくる回るときの注意点
老犬がくるくる回るのを、無理やりやめさせることはできません。飼い主は、老犬が回っても叱らずに対応することが大切です。
くるくる回っても滑らないようマットを敷く
フローリングなどは、老犬の足が滑りやすく危険です。また筋力が衰えているため、思いがけないケガにつながることもあります。老犬が過ごすスペースには、マットを敷いてあげましょう。組み合わせてつかうパネルタイプのマットなら、汚れても取り外して洗えるので便利です。
バランスを崩して倒れてしまうと、けがをしてしまいます。まわりに危険なものを置かないようにして、当たりそうな場所にはクッションや柔らかい素材のものを置き、ぶつかっても大丈夫なように工夫しましょう。
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失禁する場合は対策する
老犬がくるくる回りながら便や尿を漏らしてしまう場合は、オムツをするなどの対策をとりましょう。
自分の排泄物を踏んでしまったり、滑って汚れてしまったりするかもしれません。老化から、膀胱の収縮力などが低下している可能性があります。あまりにも失禁が目立つ場合は動物病院を受診して、獣医師に相談しましょう。
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叱りつけない
老犬を叱らないでください。ひたすらくるくると回っている老犬を見ると、イライラしてやめさせたくなるかもしれません。しかし老犬は、飼い主を困らせようとしているのではないのです。叱られることで、ますます不安になる可能性もあるので、注意してください。
散歩や遊びは続ける
散歩や遊びは、続けるようにしましょう。歩けなくなったとしても、カートに乗せて日光を浴び、外の空気を吸わせることで、刺激になります。おやつ探しゲームや、「オテ」「オスワリ」なども毎日続けてください。
行動範囲を狭くする
くるくる回るようになると、壁伝いに歩くようになる傾向があります。何か目印になるものがある方が安定して歩くことができるからです。行動範囲を狭くして、何かに添うように行動できるようにしてあげた方が良いでしょう。
まとめ: 老犬がくるくる回ったら安全を確保
老犬がくるくる回るのは、その場でしっぽを追って回るのと、円を描くように部屋の中を回る2通りがあります。まずは動物病院を受診して健康状態をチェックしましょう。回る原因はさまざまですが、大切なことは叱らないこと。飼い主は安全に注意し、見守ってあげましょう。
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