「愛猫がご飯を食べてくれない…」高齢の猫の場合は、とくに心配でたまりませんよね。
猫が病気や加齢などで食欲が落ちてきた、まったく食べなくなったというときは流動食を与える必要があります。
そんなときにも慌てないように、今回は猫の流動食とはなにか、選び方や与え方、作り方までを紹介します。ぜひ、知識として覚えておきましょう。
目次
猫の流動食とは
猫の流動食とはどろっとした状態の食事で、病気や老化などで食欲が低下した際に用います。
1日に必要な栄養を取り入れられるよう調整されているため、適切な量の流動食を与えるだけで生命を維持することができます。
流動食というと液体状の食事を想像する方も多いと思いますが、実はさまざまな形状のものがあります。固形ではない、液体状またはどろどろとした食事全般を流動食と捉えてもよいでしょう。
猫の流動食の選び方
猫の流動食には液体のものもあれば、ゲル状、ペースト状などがあり、体調や食欲に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
また、健康状態によっては、サプリメントで栄養を補わなければいけない場合もあるでしょう。そのような場合は獣医師に相談してください。
ここでは、猫の体調に合った流動食の選び方について紹介します。
水を飲むことができる
固形物を食べるほどの食欲はないが、水は自力で飲めているといった場合は、粉ミルクがおすすめです。粉ミルクは栄養価が高く好きな猫も多いので、無理なく栄養を摂取できるでしょう。
粉ミルクというと、子猫用のイメージがあるかもしれませんが、成猫用、シニア用のものも販売されています。年齢に合った粉ミルクを選びましょう。
また、食事として与える際は、必ず「総合栄養食」という表記のあるものを選んでください。
少しはご飯を食べられる
食欲はないけれど、いつものご飯を少しなら食べられる、といった状態であれば、ゲル状やペースト状の流動食がおすすめです。介護用の高栄養のものを選ぶと安心でしょう。
もし食べにくそうであれば、ぬるま湯で溶いて液体に近い状態にしてあげると良いかもしれません。
まったく食事を摂らない
自力で食事を摂れない場合は、液体状の流動食を与えます。液体状の流動食には、水のようにさらさらとしたもの、若干とろみのあるものがあります。
少量でもしっかりと栄養が摂取できるカロリーエースなどの介護用の高栄養食がおすすめです。
このような状態の場合は、獣医師に相談して療法食を処方してもらうことも検討しましょう。
自力で食べられる場合の流動食の与え方
自力で水を飲める、少しなら通用の食事も食べられる場合は、スプーンやお皿を使って与えます。
老猫に与える際は、一度にたくさん与えると消化器への負担が大きくなるため、3〜6回にわけて少しずつ与えるようにしましょう。
スプーンやお皿から上手く食べることができない場合は、シリンジを使って与えます。
猫を抱っこして顔を少し上げた状態で、シリンジを口の端に差し込み、少しずつ注入します。誤嚥のリスクを避けるため、必ず飲み込んだことを確認してから次を注入するようにしてください。
猫の強制給餌とその方法について
猫が思うように食事を摂れなくなった場合は、強制給餌を検討しなければいけないことを知っている飼い主も多いでしょう。
ここでは、どのような猫に強制給餌が必要なのか、強制給餌の方法や注意点までを詳しくまとめました。
強制給餌が必要な猫
強制給餌はなんらかの理由により食事を食べなくなった猫に強制的に食事を摂取させる方法です。食事をまったく摂らない、ほとんど食べないという場合におこないます。
具体的には以下のような場合です。
• 24時間以上まったく食事を食べない
• 食欲がなく体重が減り続ける
猫は、24時間以上食べない、またはほとんど食べない状態になると肝リピドーシスのリスクが高まり、命にもかかわります。とくに、肥満の猫や高齢の猫は危険です。
また、食欲がなく体重が減り続けるような場合も栄養不足が懸念されますので、強制給餌の対象になります。
ただし、安易な自己判断は危険です。強制給餌は猫にも飼い主にもストレスになります。本当に必要なのか獣医師とよく相談しましょう。
流動食の強制給餌で使うもの
強制給餌に必要なものを以下にあげます。
• シリンジ
• 流動食
• バスタオルなど(猫を包むもの)
• 濡らしたタオル
シリンジは口に流動食を入れるために使います。1回分として、10mlのものがあれば十分でしょう。
また、強制給餌の際に猫が暴れたり、嫌がって逃げたりしないようにバスタオルなどで猫を巻いて動きを封じるようにします。
濡らしたタオルは、猫の口の周りを拭く際などに使用します。
強制給餌の方法
ここでは、強制給餌の方法を紹介します。やり方を間違えると誤嚥などの危険性がありますので、あらかじめ獣医師の指導を受けることをおすすめします。
■準備
• 流動食を人肌に温めておく
• 猫が暴れないようにバスタオルで体を巻く
タオルを巻く際は足を中に入れるようにして完全に動きを封じてください。逃げられるのを防止すると同時に引っかかれるのも防げます。
■与え方
1)タオルで包んだ猫をしっかりと抱きかかえ、顔を少し上に向ける
2)シリンジを口角から差し込み、舌の上に流動食が乗るようにして少しずつ流し込む
3)猫が自力で飲み込んだのを確認して、次の流動食を入れる
4)上手く飲み込めない場合は、のどを両手で押さえてしばらく上を向かせる
強制給餌の注意点
猫の強制給餌の際は以下の点に注意します。
• 爪は短くしておく
• 一回の食事の量は少量に
• 誤嚥しないよう少しずつ与える
• 上手く飲み込めないときはぬるま湯で溶く
強引に食べさせるので猫が嫌がって暴れる可能性があります。引っかかれて怪我をしないよう、爪は短く切っておきましょう。
また、誤嚥の危険性があるので、猫が飲み込んだのを確認してから少しずつ口の中に入れるようにします。時間はかかりますが、猫のペースでゆっくりと与えてください。
流動食の作り方
猫の流動食は手作りをすることも可能です。まずは、以下のものを準備します。
• ウェットフードまたはドライフード(いつも食べているもの)
• ミキサー
• ブドウ糖(必要に応じて)
• サプリメント(必要に応じて)
流動食が必要な状況では食事量が減っていることが懸念されます。いつも与えているご飯では、高栄養食を作ることは難しいため、必要に応じてブドウ糖やサプリメントを足すと良いでしょう。
サプリメントのなかには、薬との飲み合わせに注意が必要なものがあります。獣医師に相談してから与えるようにしてください。
■作り方
1)ドライフードを使う場合はぬるま湯でしっかりとふやかす
2)ドライフードまたウェットフードにぬるま湯を足してミキサーにかける
3)なめらかになったら完成
水分が多すぎると食べ切れなくなるため、最初は少なめにし、様子を見て追加してください。
また、作り置きは避けて、必ず毎回作るようにしてください。
まとめ:愛猫のために流動食や強制給餌が必要になることも
猫が病気や老化で食欲が低下している場合は、流動食や強制給餌を検討しなければいけません。
しかし、少しでも愛猫に長生きしてほしいと思いつつも「強制給餌をおこなうべきなのか」と悩む飼い主も多いと言います。
そのようなときは、強制給餌や流動食を与える必要性があるのかも含めて、獣医師に相談することをおすすめします。