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ペットとのソーシャルディスタンスも心がけましょう。
動物から人間にうつる感染症を「動物由来感染症」といい、現在日本国内で発症するものは約50種類にのぼると言われています。
健康な人の場合は感染してもほとんど発病する心配はありませんが、小さな子供や高齢者、病気をしている、回復して間もない人など、体力が衰えて、さらに免疫力が低下している人の場合、注意が必要となります。
近年のペットブームで、室内でペットと一緒に過ごす時間が大幅に増加したり、ペットを人間と同様な扱いをする家庭が一般化しており、人とペットを取り巻く環境は大きく変化しております。
その中で可愛いペットとご自身の健康を守るためには正しい知識を持っておくことが重要です。
ペットと触れ合うことにより、心が穏やかになり癒されます。
しかし、可愛いからといって口移しで食事を与えたり、一緒の布団で寝たりするなどの行為は注意が必要です。
主な「動物由来感染症」
狂犬病
狂犬病に感染した犬等、哺乳類に噛まれることにより感染します。
平均30日の潜伏期間後に麻痺や錯乱などの神経症状を発生します。
感染した犬のほとんどが攻撃的になります。
いったん発病すると治療法がなく、100%死亡する大変恐ろしい病気です。
世界中の多くの国と地域で毎年発生しており、年間3~4万人もの人々が亡くなっています。
日本では、狂犬病の発生予防のために、毎年の予防接種が法律で義務付けられています。
猫ひっかき病
猫に噛まれたり、ひっかかれたりしたことにより、細菌が体内に侵入して感染します。
傷を中心に赤く腫れ、傷がある方の脇の下などのリンパ節の腫れ、痛み、発熱などの症状が出ます。
症状は自然に治まりますが、まれに頭痛や意識障害を伴う脳症や結膜炎を合併することもあります。
予防法としては、猫の爪は短く切り、清潔に保つようにしましょう。
外傷を受けた時は必ず傷口を消毒しましょう。
トキソプラズマ症
猫などの糞からトキソプラズマ原虫の感染によっておこる病気です。
妊婦がトキソプラズマに感染していた場合、お腹の中の胎児が失明するなどの影響が出ますので注意が必要です。
免疫機能が低下している人も脳炎や肺炎など重症化する恐れがありますので注意が必要です。
予防法としては、ケージやトイレなど飼育環境を清潔に保ち、糞便は適切に処理を行って下さい。また、猫を屋外で飼育しないことも重要です。
免疫が低下している人、妊娠前あるいは妊娠中の人は抗体検査を受けることをおすすめします。
犬猫回虫症
犬や猫の糞便中に排出された回虫の卵が、人の口から体内に入った場合、体内のどこかでとどまり、内臓や脳などに様々な障害をおこすことがあります。ブラッシングやシャンプーで体を清潔に保ち、動物病院で定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
パスツレラ症
犬や猫などの口腔内によく見られる細菌で、噛まれたり、ひっかかれたりした時にできた傷口から感染します。症状は軽く、赤く腫れる程度がほとんどですが、まれに深いと化膿や髄膜炎を起こすこともあります。外傷を受けた時は必ず傷口を消毒しましょう。
他にも亀を介して感染するサルモネラ症、きつねを介して感染するエキノコックス症や、「動物由来感染症」以外にも、体毛やノミ・ダニがアレルギー疾患の原因になったり、マダニに関しては命に関わる危険もあります。
気を付けること
過剰な接触を避ける
口移しで食事を与えない。食器や、それを洗うスポンジを共有しない。
一緒の布団で寝ない(しつけの観点からもケージ飼いに慣れてもらいましょう)、洗濯物は分けて洗う。
清潔に保つ
ブラッシングやシャンプーなど定期的なお手入れを欠かさない。飼育ケージ、トイレ、ベッド、衣類など、こまめに掃除・洗濯をする。
手洗い
ペットに触れたあとは手を洗う。(ペット以外でも、砂場や花壇などを触ったあとも注意が必要です。)
犬は狂犬病の予防注射をする
狂犬病は日本では過去50年発生はしていませんが、世界全体では多くの地域で発生しており、致死率100%の大変恐ろしい病気です。
法律上でも予防接種と登録が義務付けられています。
野生動物に触れない・拾わない
どのような習性があるのか、病気を持っているかなど情報が少なく、やむを得ず飼う場合にも特別な許可が必要となります。
まとめ
病気が怖いから動物は危険だ、ペットは飼わないなどと考える必要は決してありません。自分のペットがどんな感染症のリスクを持つかを知り、日常生活のちょっとしたことに注意をすれば感染リスクを大幅に減らすことが可能です。ペットとこれからも幸せに暮らせるように正しい予防策をとることが大切です。