「老猫がご飯を食べてくれない。もしかして病気?」と悩んだ経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ご飯を食べないと体力の低下や栄養不足による免疫力低下なども心配になります。なるべく早く対処してあげたいところです。
老猫は何日ご飯を食べなくても大丈夫なのか、食べない原因にはなにがあるのか、今日からでもできる対処法を紹介します。
目次
老猫が何日もご飯を食べない。何日までならOK?
老猫がご飯を食べないといっても状況はさまざまです。食べる量が減っている、食べないときがあるという程度で元気がある場合は、様子を見ても問題ないでしょう。
一方、ご飯を完全に食べない、ほとんど食べないという場合は注意が必要です。猫は一定期間ご飯を食べないと命にかかわる病気を発症してしまう可能性があるためです。
1日以内はOK、1日以上は要注意
老猫がご飯を食べない際に様子を見てもいいのは1日(24時間)まで。1日以上ご飯を食べないときは、すぐにでも動物病院を受診しましょう。
また、1日半(36時間)以上の絶食は「肝リピドーシス(脂肪肝)」のリスクが高まります。とくに、肥満の猫は要注意です。
肝リピドーシスは、猫が長時間ご飯を食べられずに栄養が不足することで起こります。猫は栄養が足りないと判断すると、肝臓に脂肪を蓄えます。その際、脂肪が過剰に蓄積されると肝リピドーシスになるのです。
肝リピドーシスは、命にかかわる病気です。発症リスクを減らすためにも、食欲不振に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
老猫が何日もご飯を食べない原因
老猫が何日もご飯を食べない理由は、大きく分けると「病気」と「老化」です。
では、老猫の食欲不振につながる病気や老化にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
歯周病
歯周病は食欲不振を引き起こす代表的な病気の1つです。猫の歯周病は、歯に付着した歯垢や歯石に含まれている細菌が原因となり、歯茎や骨に炎症が起きる病気です。
歯周病のおもな症状は以下です。
• 歯肉の腫れ・炎症
• 歯茎からの出血
• 歯のぐらつき
• 口臭
歯周病のおもな治療法は歯石除去と抜歯です。全身麻酔での手術となるため、老猫には大きな負担となります。歯みがきを習慣にして歯周病予防に努めましょう。
口内炎
口内炎は重症化すると強い痛みを伴い、ご飯を食べられなくなります。
そのほか、口内炎では以下の症状が見られます。
• よだれの増加
• 口の中の腫れ
• 口元を掻く
• 毛づくろいをしない
猫の口内炎の原因ははっきりとわかっていませんが、ウイルス感染や免疫力低下と考えられています。また、以下のような重篤な病気が隠れている可能性もあります。
• 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
• 猫カリシウイルス感染症(猫かぜ)
• 慢性腎臓病
• 歯周病
• 糖尿病
気になる症状がある場合は、動物病院を受診しましょう。
鼻水・鼻づまり
猫は匂いで目の前にあるものを食べても問題ないか確認します。そのため、鼻がつまって匂いがわからなくなると、食べていいかどうかを判断できず、食欲不振の原因になるのです。
猫の鼻水や鼻づまりには、以下の病気が関係していると言われています。
• 猫カリシウイリス感染症(猫かぜ)
• 猫ウイルス性鼻気管炎(猫かぜ)
• 鼻腔内腫瘍
• 歯周病
猫の鼻づまりの多くは呼吸器疾患です。そのなかでも、猫かぜはワクチン接種で予防できる病気です。定期的に予防接種を受けるようにしましょう。
基礎代謝の低下
猫も人間と同じく、加齢とともに基礎代謝が低下していきます。
基礎代謝とは、生命を維持するために寝ていても消費する最低限のエネルギーのことです。呼吸や心臓を動かす、体温を維持するなど生きていくうえで必要最低限の生命活動をするために使われます。
基礎代謝が低下すると1日に必要なエネルギー量も減少するため、食べる量も減っていくのが自然です。
老猫が何日もご飯を食べないときの改善方法
食欲不振の老猫にご飯を食べてもらうには少しだけ工夫が必要です。
老猫の健康を守るためにも栄養バランスの優れたご飯をしっかりと食べてほしいと考えている飼い主さんも多いでしょう。
そこで、自宅でも簡単にできる老猫の食欲不振の改善方法をまとめました。
フードの種類を変える
猫は老化とともに、歯や顎の力が弱ってきます。すると今まで食べていたご飯が食べにくいと感じ、食欲が減衰してしまうのです。その場合、シニア用フードやウェットフードに変更してみるといいかもしれません。
シニア用フードは栄養面だけでなく、老猫が食べやすいような固さや大きさ、形状に工夫してあります。
また、ウェットフードは柔らかいだけでなく、ドライフードよりも風味が豊かで嗜好性が高いので、老猫の食欲を刺激してくれるでしょう。
フードにひと工夫する
フードを温める、好物をトッピングするなど老猫の食欲を刺激する工夫をするのもおすすめです。
フードを温めることで香りが立ち、食欲が刺激され、食べはじめることがあります。ドライフードとウェットフードのどちらも温めることで香りが強くなります。鼻づまりや嗅覚の衰えた老猫に効果的です。
とにかく食べてほしいときには、かつお節や猫用のふりかけ、鶏肉など愛猫の好物をトッピングするとよいでしょう。
口内炎や歯周病の猫には、ウェットフードまたはドライフードをぬるま湯でふやかすなどして柔らかくしてみましょう。
フードを食べる際の環境を整える
食器が低すぎる、周りがうるさくて落ち着けないといった理由で食欲不振になる場合もあります。
老猫はある程度の高さがある食器のほうが、足腰への負担も少なく食べやすいでしょう。また、嚥下能力が衰えていることが多く、頭を下げた状態だとご飯が飲み込みにくくなっているかもしれません。そのようなときは、食器の下に台になるものを置き、高さを調整してください。
また、老猫が落ち着いてご飯を食べられるよう食事の場所にも配慮が必要です。トイレから離れた、静かで人通りの少ない場所がベストです。多頭飼いの場合は、ほかの猫とはなれた場所で食べさせましょう。
老猫が何日もご飯を食べない場合は病院に連れて行ってもいい?
老猫が食欲不振で、対処法を試したけれどまったく食べないというときは動物病院を受診しましょう。
老猫の食欲不振では、持病がなくご飯を食べない以外に変わりなければ様子を見てもよいでしょう。ただし、以下の場合は、すぐにでも受診してください。
• 24時間以上の絶食(ほとんど食べないも含む)
• 嘔吐・下痢などの症状も見られる
• ぐったりして元気がない
• 水分も摂取できない
• 持病がある
食事だけでなく、水分もほとんど摂取できていないというときは、脱水の危険性もありますので早めに動物病院を受診してください。
また、老化によって体力・免疫力なども低下しています。食欲不振がつづくなどいつもと違う様子が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
まとめ:老猫が何日も食べない原因を知り適切な対策をしよう
老猫がご飯を食べないおもな原因は病気と老化にわけられます。なぜ、愛猫がご飯を食べないのかを知り、適切に対策をすることでまた以前のように食べてくれるようになる可能性もあります。
食事は動物のからだをつくっています。愛猫に健康で長生きしてもらうためには、毎日の食事を大切にし、しっかりと食べてもらうように工夫をしましょう。