老犬が甘えるようになると、その姿はかわいいと思うけれど、飼い主としては少し心配になるものです。特に急に甘えてくるようになったり、今までと違う甘え方をしたりすると、どうしてだろうと不安に思うのではないでしょうか?
老犬が甘える理由は、赤ちゃん返りやストレスによるもの、病気などが考えられます。大切なことは甘える理由を見つけ、早めに対処することです。
そこで今回は、老犬が甘える理由や甘えてきたときの対処法について、くわしく解説します。
目次
老犬が甘える理由とは?
老犬が甘える理由はいくつかあり、その理由が1つのこともあれば、いくつか重なることもあります。犬の体調や生活環境をチェックしてみてください。
犬にもある赤ちゃん返り
人間の子どもでよく見られる赤ちゃん返りですが、実は犬にもあるのです。クンクン夜中に鳴き続ける、飼い主につきまとう、同じベッドに入りたがるなど、子犬のころを思い出すような行動をして、飼い主さんを困らせるかもしれません。
犬が自分に注目してもらいたくて、覚えたはずのトイレトレーニングを失敗したり、家具やクッションを噛んでボロボロにしたり、ゴミ箱をあさるなどのいたずらをしたりすることもあります。
なんらかのストレスがある
飼い主が気づかない、何らかのストレスを抱えている可能性があることも否定できません。犬にとってストレスの原因となりやすいものが、恐怖や不安の感情です。大きな音や環境の変化も、老犬にとって恐怖や不安を招きます。犬が怖がる音は、雷の音・花火の音・バイクや自動車の音などがあげられるでしょう。
環境の変化は、飼い主の外出が増えた、家族や他の動物が増えた、部屋の模様替えをしたなどさまざまな原因が考えられます。また外的な要因だけでなく、耳の聞こえが悪くなった・目が見えづらくなったなど、犬自身のからだの衰えも犬にとっては不安でありストレスです。
病気が原因の場合もある
犬が急に甘えるようになった場合は、病気が原因のこともあります。老犬によくあるケースが「分離不安症」で、飼い主から片時も離れることができません。分離不安症では飼い主の外出は犬にとって大変なストレスとなり、吠え続けたり、粗相をしたり、下痢など消化器症状が出たりします。
高齢になってから急に分離不安症になった場合、留守番中怖い思いをした可能性があります。留守番をさせたときに、雷や花火大会がなかったかなど思い起こしてみてください。
クンクン甘えた声で鳴く理由が、からだに痛みがあるケースがあります。散歩中に急に歩かなくなって抱っこをせがむのは、関節の痛みや心臓の病気などで苦しいのかもしれません。また以前よりもご飯をせがんで甘えてくる場合は、認知症や内分泌などの病気による多食の可能性もあります。
老犬が甘えるときの行動
よく見られる老犬の甘える行動と、考えられる原因をご紹介します。
■飼い主のあとをついて回る・同じベッドに入りたがる
不安や寂しさからくる、分離不安の症状であることがあります。
■飼い主が出かけると、帰ってくるまで鳴き叫ぶ
分離不安症のため、留守番が大変な苦痛になっています。
■夜中にクンクンと鳴いて飼い主を呼ぶ
生活が昼夜逆転している可能性が高いです。クンクン鳴いても飼い主が来ないと、ワンワンと吠えるになってしまうことがあります。
■ご飯やおやつをせがむ
おやつに味をしめて、せがんでいるかもしれません。また食べたばかりなのにやたらとご飯を欲しがるときは、認知症や内分泌系の病気である可能性があります。
■散歩中に歩くのをやめる・抱っこをせがむ
単に甘えていることもありますが、からだのどこかに痛みがあるかもしれません。
老犬が甘えるときの対処法
老犬の甘えは、病気が原因のことがあります。まずは獣医さんに診てもらいましょう。病気でないことがわかったら、甘えにしっかり対処することが大切です。
すぐにできる対処方法についてご紹介します。
ストレスを発散させる
適度な散歩や運動・遊びは、犬のストレスを発散させます。散歩コースも毎日同じではなく、いろいろなルートを通って刺激を与えましょう。無理のない程度で、ドッグランで遊ばせるのもおすすめです。犬も人間と同様に、運動をして日の光を浴びると、夜もよく寝るようになります。
外だけでなく、家の中でもかくれんぼゲームなどをして遊ぶ時間を作りましょう。10分程度でも犬は満足します。
老犬との遊びについては、こちらの記事でもご紹介しています。
老犬にも遊びは重要!その理由と遊ぶときのポイント5つのこと
マッサージを行う
マッサージは、ストレス解消にとても効果的です。こわばった筋肉を丁寧になでて、ほぐしてあげましょう。関節はゆっくり曲げ伸ばししてあげると、拘縮(関節が固まること)を防ぐことにつながります。
マッサージは直接犬のからだに触るため、痛みがあるところや腫れ、傷を見つけやすいということもメリットです。もしなんらかの異常を見つけたら、早めに動物病院を受診するようにしてください。
老犬のマッサージについては、こちらの記事でもご紹介しています。
老犬へのマッサージはメリットがたくさん!寝たきりの子にも
しつけトレーニングをする
老犬にもしつけトレーニングは欠かせません。高齢だからとあきらめず、しつけをしましょう。体調不良による甘えでなければ、我慢することを教えるのは効果的です。犬が要求を通したいときは、オスワリやマテをさせます。しつけトレーニングは脳の活性化にも有効なので、毎日行うことが重要です。
まとめ:犬の甘える理由を考える
老犬の甘える理由は、赤ちゃん返りや不安や恐怖、ストレスによるもの、認知症の始まり、病気などいろいろあります。まずは病気が原因ではないか、獣医師に診てもらうことも大切です。
病気ではないことがわかったら、老犬の性格や行動をよく観察して甘える理由を探っていきましょう。老犬を取り囲む環境のチェックも、忘れないようにしてください。
理由に合った対処法をすることで、老犬も飼い主も気持ちよく過ごすことができます。