大切な家族が亡くなったあとの葬儀のしかたには悩むことが多いもの。最近ではペットの葬儀会社も増え、人のお葬式のようなセレモニーが執り行われたり、個別の墓跡が建てられるようになったりと、その様式も多様化しています。
しかし、選択肢が増えたことで「どの葬儀方法が自分の愛犬やペットを見送るのに適しているのだろう」と悩んでしまう飼い主もいるでしょう。
そこで本記事では、ペット葬儀の種類や費用相場、選ぶ際に注意すべきポイント、葬儀までの流れを解説します。
目次
ペット(犬や猫)葬儀の種類と費用相場
ここでは、犬や猫などペット葬儀の種類とそれぞれの費用相場を解説します。
土葬
亡くなったからだを火葬せず、土に埋めることを土葬といいます。自身が所有する土地であれば、亡くなった犬を土葬することも可能です。
火葬せず、そのまま土葬する場合は、最低限1メートル以上、理想は2メートル程度の深さの穴を掘って埋葬するようにしましょう。なお、火葬をする・しないに関わらず、自分が所有する土地以外に亡骸や焼骨を埋葬することは法律違反ですので行ってはいけません。
ただし、亡くなったからだをそのまま土葬する場合、腐敗によって異臭や土壌汚染が起きたり、野生動物に掘り返されたりするリスクがあります。とくに異臭は近隣トラブルの原因となりやすいので注意しましょう。
火葬
ペット火葬は、ペット火葬業者に依頼して遺体を火葬することです。最近では多くの飼い主が利用している供養の方法です。
火葬してから焼骨を埋葬してあげるほうが理想的です。火葬後の焼骨を埋葬するようにすれば、土葬で起きる可能性のあるリスクを避けられます。
ペット火葬の費用は、合同火葬や個別一任火葬、個別立会火葬、訪問火葬など火葬の種類や犬の大きさによって異なります。まず、火葬方法には以下のような種類があります。
1.合同火葬
複数の家庭のペットたちを一緒に火葬します。火葬場の中には地方自治体が運営しているものもあります。合同火葬料の相場は、大体1万円~4万円程度です。
2.個別火葬 / 個別一任葬儀(一任個別火葬)
個別の家庭ごとに火葬を行う場合には個別火葬と呼ばれます。単に「個別火葬」と呼ぶ場合には、家族が立ち会う中で火葬が行われる場合が多いです。
一方で家族が立ち会えない場合には、「個別一任葬儀」と呼ばれることが多いようです。個別の火葬を行うが、実際に行う際に家族は立ち会わず、葬儀会社に一任するという意味です。ただし、必ずしもこの定義が当てはまるとは限りません。立ち会いできるか、できないかは必ず実際に依頼する事業者に確認するようにしましょう。
個別一任火葬料は、大体2万円~5万円程度です。
3.訪問火葬
移動火葬車を用いて、火葬場以外で火葬を行う場合を指します。個別火葬を行い、返骨ありなしの選択が可能です。訪問火葬料は、大体2万円~5万円程度です。
火葬料金の相場は、犬の大きさによって異なります。ペット火葬の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【飼い主必見】犬の火葬の種類や費用、火葬を選ぶポイントを解説
ペット葬儀を選ぶ際に注意すべきポイント
葬儀の様式が多様化するにしたがって、「どの葬儀をしたらいいの?」と迷ってしまいやすくなっています。以下に紹介するポイントについて、家族の価値観や状況にもとづいて希望を決めていくと、納得のいく葬儀を選びやすくなるでしょう。ぜひ参考にしてみてくださいね。
希望に合うサービス・費用のプランがあるかどうか
大切な愛犬との別れを納得できる形で行いたいと考える飼い主も増えているため、読経やお骨上げなどのお葬式(セレモニー)を行い供養できるプランがある業者も多くあります。
また、愛犬が亡くなってから火葬までの平均日数は3日以内、遅くても1週間以内には行うことがほとんどです。そのため、24時間365日対応可能かどうかということも大切な要素になるでしょう。
すべての希望に応えてもらうことは難しいかもしれませんが、最後のお別れを納得できるよう、希望に合うサービス・費用のプランがあるかどうかを十分に検討しましょう。
立ち会いできるかどうか
一般的な火葬プランでは、立ち会いはできません。立ち会いを希望する場合には、個別立ち合いプランを選ぶようにしましょう。
個別一任火葬よりも金額が高額になることが多いですが、最後まで愛犬の見送りをしたいという飼い主に選ばれているプランです。
返骨されるかどうか
業者の中には返骨を受け付けていない業者もおり、また同一の業者の中でも返骨可能なプランと不可能なプランの両方を持っていることが少なくありません。
家族と業者、お互いの認識のずれによってトラブルが起きやすい部分です。よく確認をするようにしましょう。
墓地への埋葬が可能かどうか
ペット火葬業者の中には焼骨をしたのち、そのまま自社や提携先の墓地に埋葬してくれる業者も存在します。焼骨の埋葬を希望している場合には、そういった業者を探すのも1つです。
犬が亡くなってから葬儀までの流れ
それでは、愛犬が亡くなってから葬儀まで、どのような手順が必要になるのでしょうか。ここでは、愛犬が亡くなってから葬儀までの流れについて解説します。
1.からだを整える
愛犬が亡くなったら、死後硬直がはじまる1~3時間以内に自然な姿勢を取らせてあげましょう。また、体液が口や鼻、体液から漏れてきてしまうため、しっかりとガーゼを入れてあげます。
その後はからだを拭き、毛並みを整えてあげてからからだ全体を冷やしましょう。直射日光を避けた場所に保冷材やドライアイスで冷やしてあげると、腐敗が進むのを遅らせられます。
2.ペット葬儀を検討する
ここまでに紹介したようにペット葬儀業者や種類、プランについて検討しましょう。亡くなる前に複数の火葬場を選定しておくことで、スムーズに手続きに移れます。
愛犬が亡くなってしまうと、心に余裕がなくなってしまう飼い主も多くいます。生前のうちにできる限りのことを準備しておくようにすることがおすすめです。
3.葬儀・埋葬する
飼い主の決めた形で葬儀・埋葬を行います。
深刻なペットロスに陥らないためにも、後悔のない形で見送ってあげることが最も大切です。家族ともよく相談し、葬儀・埋葬に向き合える時間を確保しましょう。
火葬にかかる時間は、30分~1時間程度です。返骨してもらい、埋葬する場合にもスムーズに進めば1日ですべてのプロセスが完了します。埋葬の形式には、以下の方法があります。
・ ペット納骨堂に入れてもらう
・ お墓に埋葬する
・自分が所有する土地に埋葬する
・自然葬(樹木葬や散骨など)を行う
・仏壇に安置する
・アクセサリーのような仏具に加工してもらい、手元で供養する
4.市町村役場へ届出を出す
忘れてはならないのが、市町村役場へ「死亡届」の届出を出すことです。愛犬を購入した際に届出をした市町村役場や保健所に、亡くなってから30日以内に提出する必要があります。
また、日ごろからお世話になっていた動物病院がある場合には、こちらにも連絡をしておくこともおすすめです。亡くなったあとにダイレクトメールが届く事態を防止できます。
ペット葬儀当日の服装・持ち物・マナー
ペット葬儀当日までの流れは解説しましたが、ペット葬儀当日にはどのような準備が必要なのでしょうか。ここでは、ペット葬儀当日の服装・持ち物・マナーについて解説します。
服装
ペット火葬の場合、喪服ではなく平服(普段着)で見送ることが一般的です。ペット霊園で火葬を行う際には、指定があるかもしれません。
注意点としては、動物の毛皮や革が使用されているものや派手な服装、アクセサリーは避けてください。見落としやすいものとしては、マフラーやファーのアクセサリーなどがあります。
持ち物
ペット火葬に一般的に必要な持ち物をまとめました。
・ハンカチ
・数珠(読経や焼香がある場合には必須)
・お花
また、喪主となる飼い主が、供養に必要なものは以下になります。
・ペットの写真
・ペットが好きだったおやつ
・立会火葬やセレモニーをする場合には折りたたみの椅子
マナー
ペット火葬のマナーは、人の葬儀とあまり変わりません。焼香やお骨上げは、丁寧な所作を心がけて行いましょう。
また、香典は不要です。ペット火葬自体が最近普及したため、まだマナーとして確立されていない状況です。
まとめ
大切な家族を見送るための、大切な葬儀。家族でしっかりと話し合って、納得のいく方法を決められるとよいですね。また火葬せずにそのまま土葬することは、注意しなければならない点が多く、異臭などで後にトラブルになりやすくもあります。そのままの土葬を選ぶ場合は、もろもろの条件をクリアできるかどうかよく検討するようにしましょう。