愛猫がなんだか呼吸が苦しそう、ゼーゼー呼吸している。そんな症状が気になってこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。
今回はそんな症状に気づいた飼い主に向けて、原因や対処法を解説しています。猫がみせるさまざまな不調の中でも、呼吸の異常というのは緊急度・重症度ともに高い症状です。ぜひこの記事を参考に、なるべく早く適切な対処をしてください。
目次
呼吸が苦しい時の猫の症状
猫は呼吸が苦しいとき、大きく分けると3つの仕草をみせます。順に解説していきます。
1.呼吸の回数が早くなる
呼吸の異常を疑ったときに最も重要な指標が、1分間あたりの呼吸回数です。安静にしているときの呼吸回数(吸って吐いてで1回)が1分間あたり40回以上であれば、明らかに異常があるといえます(ただし、運動後や興奮時に呼吸回数が早くなるのは正常です)。
猫は病院に行くと緊張して呼吸回数が早くなりがちであり、診察室内で「安静時の」呼吸回数を正確に測ることが難しい動物です。愛猫の呼吸に違和感を覚えた時は、自宅で1分間あたりの呼吸の回数を測っておいて獣医師に伝えられるのが理想的です。ぜひ観察してみてください。
以下の記事では、老猫の呼吸が早い時の詳細記事も公開しています。
>老猫の呼吸が早い?呼吸は生命の根幹!異常は危険な可能性高し!
2.咳
猫が見せる症状のなかで最も軽視されがちな症状の1つが咳です。人間の場合は、ちょっとした風邪をひいただけでも咳をしますので、「咳」という症状を重く捉える飼い主は少ないのではないでしょうか。
しかし、猫は何らかの病気があっても、重症中の重症でなければ「咳」をしない動物です。猫が咳をしているときは非常に緊急性が高く、すぐに治療を開始しなければ命に関わる危険があります。咳のしかたや音は人の咳と似ているため、「咳くらい軽い症状だ」と思い込んで様子をみたりせずに、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
補足:空嘔吐と咳の違い
空嘔吐と咳の仕草は似ているため、間違えてしまいがちです。見分け方のコツは、腹部の動きです。空嘔吐の場合には、人間が吐くときのように腹部がグッともちあがる前動作の後に、咳のような仕草が続きます。腹部の動きがなければ咳の可能性が高いでしょう。腹部の動きも観察するとともに、動画を撮影して獣医師に見せられると理想的ですね。
3.呼吸困難(開口呼吸、異常な呼吸音※ゼーゼー、ひゅーひゅー など)
3つ目に緊急性が高い状態として、呼吸困難があります。このとき猫は、首を前方にまっすぐ伸ばして、荒く呼吸をすることが多いです。気管に異常があれば「ゼーゼー」や「ひゅーひゅー」という音を伴うこともあります。開口呼吸をしている場合も、呼吸困難が疑われます。咳と同様に緊急対応が必要な状態ですので、見逃さないようにしましょう。
呼吸の異常は猫喘息の可能性もあります。猫喘息の参考記事はこちら
>猫も喘息になる!猫喘息の症状を徹底解説!
猫の呼吸が苦しくなる原因とは
猫の呼吸が苦しくなる原因は、大きく「呼吸器の病気」「心臓の病気」の2つに分かれます。
前者は気管の異常(猫喘息やウイルス性気管・気管支炎など)や肺の異常(感染性の肺炎、誤嚥性肺炎、肺水腫など)によって呼吸が苦しくなります。後者は先天性の奇形や肥大型心筋症などによって循環動態(血液の巡り)に異常が生じて、二次的に呼吸が苦しくなります。
いずれの原因であっても緊急の対応が必要なことには変わりありませんので、なるべく早く動物病院を受診することが望まれます。
猫の呼吸が苦しそう!対処法は1秒でも早く動物病院を受診
猫の呼吸回数が1分間に40回を超える場合、決して様子見をしたりはせずに、すぐに動物病院を受診しましょう。夜間や休診日でかかりつけの動物病院があいていなかったとしても、とりあえず受診できるところを探して受診すべきといえます。
呼吸回数は心拍数・体温とならんで「バイタルサイン」と呼ばれるほど重要な指標です。呼吸も含めたバイタルサインの異常は、生命の危機に直結しています。愛猫の呼吸に関して異常を感じた際は、すぐに対処するようにしてください。
動物病院での治療法
呼吸に異常があるとき、早急にその原因を突き止め、治療をしなければなりません。レントゲン検査・血液検査・超音波検査が最低限必要とされます。
ただし、来院した時点では検査のストレスにたえられる状態ではないことも多くあります。その場合には、初期の緊急対応として酸素吸入などを行い、まず検査のストレスにたえられるまで呼吸状態を安定化させる(急場をしのぐ)ことを優先することもあります。酸素吸入はあくまで対症療法ですので、検査ストレスにたえられるまでに状態が安定したら検査を行い、原因の診断・治療を目指します。少しでも早く対応できるよう、家庭での様子も動画と共に獣医師に伝えられると良いですね。
まとめ:猫の咳は緊急度高!定期健診も行おう
呼吸は生命維持の根幹を担っています。呼吸の異常は、決して様子を見てはいけません。また「咳」という症状は軽く捉えられがちですが、猫の場合は非常に緊急性が高い症状です。「咳」を人間と同じような軽いレベルで捉えないことも大切です。
症状が出たらすぐに動物病院を受診することはもちろんですが、猫の呼吸器疾患や心臓疾患は病気が進行してからでないと、目立った症状を出さないことが多いです。目立った症状がなくとも、定期的に健診を受けさせることが重要でしょう。