老猫に目やにがついている場合、何かの病気なのではないかと心配になることがあると思います。
目やにの原因として緊急性の高い病気であることは少ないため、慌てずにまずは自宅で数日間様子をよく観察してから動物病院の受診を検討するのも選択肢のひとつといえるでしょう。
この記事では、観察すべきポイントや目やにの原因として考えられる病気、自宅でのケアについて解説していきます。
目次
自宅で観察すべきポイントを紹介!
自宅で観察する場合のポイントとしては、まずどういったタイプの目やになのかを見る必要があります。
病的な目やに?それとも生理的な目やに?
実は他に症状のない目やに(結膜炎など)は生理的な目やにとみなされ治療対象にはなりません。
動物病院を受診せず自宅で経過をみると決めた場合には、以下のポイントをよく観察して動物病院を受診するかどうか検討すると良いでしょう。
生理的な目やにの特徴
眼球表面の汚れやごみが涙で洗い流され、結膜からの分泌物で絡め取られたものが「目やに」です。起きているときはまばたきによって洗い流されているため、本来は活動中にはあまりみられません。
一方、寝ている間はまばたきをしないため、起床時に多少目やにがついていることがあります。これが生理的な目やにです。無色透明~半透明の色で、量は左右対称という点が特徴的です。ただし空気中のホコリなどが混ざってこびりつくと色が黒くなることもあります。
病的な目やにを疑うケース
生理的なものではなく、治療が必要な病的な目やにを疑うポイントは以下のケースに当てはまるかどうかです。
- 目やにの量が日毎に増えている
- 活発に活動している間にも目やにがつく
- 目やにの量に左右差がある
- 目やにの性状:白色や緑色をしている、膿っぽい、血混じりなど
- 他の症状を伴う:流涙、結膜充血、眩しがるなどの眼の異常、くしゃみ、鼻水、口内炎など
上記のケースに1つでも当てはまるようなら、様子見を続けることなく動物病院を受診するべきといえます。なるべく早めに判断をつけられると良いでしょう。
老猫の鼻水については、こちらの記事でも紹介しています。
老猫の鼻水は注意が必要!?主な原因を紹介!
老猫の目やにの原因は?
大半の例では感染症による結膜炎が原因であるといえます。まれに外傷などの他の原因によって目やにがでることもありますが、自宅でそれらを見分けることは不可能でしょう。
外傷のほか、眼に異常がでる病気のほとんどで目やにが増えるため、感染症以外の原因についての詳細な解説は本記事では割愛します。
感染症による結膜炎について
異常な量の涙や目やには、鼻水やくしゃみとならんで、いわゆる「猫風邪」の代表的な症状の1つといえるでしょう。いわゆる「猫風邪」は猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどのウイルス感染症であることが大半です。
それより症例数は少ないですが、クラミジアやマイコプラズマといった細菌感染によるものもあります。これらのウイルスや細菌は混合感染しているケースも多いです。
基本的には抗ウイルス薬や抗菌薬の点眼によって治療されることが多いですが、それで治りが悪ければ内服薬や注射薬を使うこともあるでしょう。
その他の病気
眼の傷や、水晶体という眼の構造の病気、アレルギー性結膜炎、眼腫瘍などが代表として挙げられます。眼に異常を起こすほとんどすべての病気で、目やにという症状が認められます。
眼の傷以外の頻度は少なく、ごくまれであるといってもよいでしょう。治療はそれぞれの病気によってさまざまです。比較的多い眼の傷については、角膜を保護する点眼剤を使って自然治癒を助けてあげるような治療を行います。
感染症による結膜炎と診断されたら?
多くの場合で点眼薬による治療が選ばれ、点眼の回数は1日3回程度となるでしょう。猫は慣れていないと点眼を嫌がることも多く、無理やりに続けていると点眼瓶をみただけで逃げ出してしまうようになることもあります。
あるいは飼い主であっても爪を立てたり噛みつくようになったりと、実は1日3回の点眼を継続していくのはなかなか大変です。
そこで点眼のコツと、投薬以外に自宅でしてあげられるケアを紹介します。
点眼のコツ
- 1.点眼瓶を猫の顔の正面からではなく、真後ろから近づける
- 2.暴れてしまう場合はタオルで巻く、アニマルネッカーを本来の向きと逆向きにつけるなどすると抑えやすくなる
- 3.点眼瓶内の汚染を防ぐため瓶の先端と眼の距離は空ける
- 4.うまくできたらご褒美をあげる
点眼瓶を猫の正面から近づけてしまうと、猫に恐怖や不安感を与えてしまいうまくいかなくなることが多いです。
できるだけ猫の視界の外、真後ろから点眼瓶を近づけるようにしましょう。それでも嫌がって暴れてしまう場合には、2のコツを使って飼い主も猫も怪我をしないようにしましょう。
また点眼瓶の中で細菌が増えてしまっては、せっかくの点眼も治療効果が落ちてしまいますので、点眼瓶内の汚染には注意しましょう。
そしてうまく点眼できたらご褒美をあげることで、「点眼を我慢すれば良いことが待っている」と猫が学習してくれることが期待できます。
ぜひ点眼治療の開始時からご褒美を活用してみてください。すでに点眼治療を始めてしまっている猫でも、嫌な記憶を薄め点眼をしやすくなる効果が見込めますので諦めずにご褒美をあげ始めてみてくださいね。
投薬以外にしてあげられるケア
目やにを放置するとこびりついて、眼瞼炎や皮膚炎の原因になります。
最低でも1日1回はお湯でふやかしながら拭き取ってあげられるとベターです。専用品も市販されていますが、ティッシュやコットンを湿らせれば代用できます。
猫ヘルペスウイルス感染症については、ウイルスの増殖速度を下げる効果が見こめるサプリメントも市販されています。治療効率を少しでも上げたい、あるいは再発リスクを少しでも下げたいようなら獣医師に相談した上で導入を検討しても良いかもしれません。
まとめ
目やにが気になったときは、それが生理的な目やになのか病的な目やになのかの見当をつけられるよう、慌てずによくよく様子を観察してみることが大切です。
病的な目やにであることが疑われたならば、躊躇せずにすぐに動物病院を受診するようにしましょう。仮に生理的な目やにを主訴に動物病院を受診したとしても、良心的な獣医師がそれを迷惑がるようなことはありえません。少しでも判断に迷ってしまうようなら、気兼ねせずに獣医師に相談するようにしましょう。