若い犬、老犬に関わらず、飼い主が発見した場合に大きな不安にとらわれやすい症状の1つが「震え」です。特に老犬が急に震えだした場合には、非常に危険な状況である可能性があります。自己判断で様子をみるにはリスクが高いといえます。
この記事では、老犬の震えについて考えられる原因、自宅で観察すべきポイント、飼い主がとるべき対応について解説します。
目次
老犬の震え!考えられる原因は?
原因 | 解説 |
---|---|
痙攣発作 | てんかん、脳やまれに脊髄などの中枢神経系の疾患、熱中症、低血糖など体内のバランスが崩れる代謝性疾患 |
病的な運動失調(麻痺など) | 椎間板ヘルニアに代表される神経系の疾患など |
低体温 | 寒冷環境 |
痛み | 関節炎、腹痛など |
吐き気 | 急性胃腸炎などの消化器疾患 |
自分の体重を支えられない | 加齢に伴う筋力の低下 |
痙攣発作や低体温症、一部の吐き気については緊急治療が必要です。痛みによる震えは緊急性が低い可能性もありますが、原因を自宅で見分けることは非常に難しいです。
震えの原因が高齢であるからだと判断せずに、まずは動物病院を受診しましょう。
老犬に震えがみられたら観察すべきポイント
「震え」という症状について、獣医師が適切な検査や診断を検討するためには自宅での様子がとても大切です。
では、老犬の震えに気づいた時にはどんな点に注意を払って観察すればよいのでしょうか。そのポイントについては以下に挙げます。
意識ははっきりしているかどうか
呼びかけても反応がないなどの場合は、痙攣発作の可能性が非常に高いです。痙攣発作以外の原因で、意識まで失われることは非常にまれです。
痙攣発作は緊急性が高く、数時間以内に命を落としてしまうか、脳に深刻な後遺症を残してしまう可能性もあります。
また、意識はあっても自立あるいは自力歩行ができない場合には、神経症状としての運動失調が疑われます。
これらの場合は早期治療が必要であるため、緊急受診をしましょう。
触った感じの体温はどうか
体温が低めでも高めでも、異常を感じたら緊急受診をしましょう。空調が稼働していれば、低体温症になる可能性は低い少ないかもしれません。ただ、部屋の隅などは意外と空調が届いていないこともあるので注意が必要です。
また、夏場は頻繁に熱中症になります。体温調整機能が弱いパグやフレンチ・ブルドックに代表される短頭種は特に注意しましょう。
震え以外の症状はあるかどうか
足や腰など、からだのどこかを触ると嫌がったり、歩き方に違和感があったりするようであれば痛みを感じている可能性が高いです。嘔吐や下痢があった、そこまで明らかな症状がなくてもお腹がキュルキュルいっているといった様子が観察されれば、消化器疾患の可能性も考えられます。
震え以外の症状がなく、元気や、食欲があれば、動物病院の受診は少し様子をみてからでもよいでしょう。
特に危険な状況についてとるべき対応を詳しく解説!

意識がない
声かけなどに対する反応が全くない、あるいは鈍い場合には、病的な震えが強く疑われます。痙攣発作が10分間以上続いた場合、命を落としてしまうか脳に後遺症が残る可能性が高まるといわれています。
自宅で意識障害を伴う震えの原因を判断することは難しく、原因によって必要とされる治療は異なってくるので、動物病院を緊急受診しましょう。
体温に異常がある
低体温の場合には、毛布などでくるみ、保温しながら動物病院へ向かいましょう。体温を上げようとして、ドライヤーなどで急激にからだを温めるのはかえって危険です。自宅での対処は、「今以上に体温を下げさせない」ことを目的にしましょう。
高体温の場合は、からだ全体を常温の水で濡らしてから動物病院へ向かいましょう。軽く風をあてられると理想的です。からだに氷水をかけたり、保冷剤を直接当てたりするのはかえって体温を下げづらくします。ポイントは「常温の水でからだを濡らす」ことです。
短時間に何度も吐く
半日の間に5回も6回も吐くようであれば、「嘔吐」という症状の中でも重症といえます。異物を誤食して腸管閉塞を起こしているなど、重い消化器疾患がある可能性が考えられます。お腹を圧迫しないように注意しながらすぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ

「震え」は「もうトシだからねぇ…」と自宅で判断して様子を見るには危険すぎる症状の1つです。安易に、高齢や精神的な原因からくる震えである、という自己判断はせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
また、少しでも判断に迷うようであれば、主治医さんに相談してみましょう。