愛犬が年を重ねるにつれ、なんだか体重が軽くなってきたり、見た目が細くなってきたりなど、不安に感じられる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
老犬が痩せる原因としては、加齢に伴う老化現象の場合もありますが病気の症状の可能性もあるため注意が必要となります。
そこで今回は、老犬が痩せてきたときに考えられる原因とその対策などについて解説していきたいと思います。
目次
老犬が痩せる原因とは
老犬が痩せてきたときには老化現象ではない場合もあるため、まずその原因を確認することがとても大切になります。老犬が痩せる原因としては、主に以下の3点が考えられます。
食事によるもの
老犬が痩せる原因の1つとして年齢に合っていないフードを与えていることにより、老犬が食べづらさを感じてしまって食べる量が減少していることが考えられます。
ほとんどの老犬は成犬時と比べて噛む力や消化機能が衰えてきています。そのため、食事療法を行っている場合以外は、粒の大きさや消化のしやすさなどに配慮している「高齢犬用」「シニア犬用」のフードを与えることがおすすめです。
年齢によるもの
犬も年齢を重ねるにつれて寝ている時間が増えたり、運動量が減ったりすることにより筋肉量が低下します。すると、若いときと比較し1日の必要エネルギー量が約20%低下するなど、ある程度痩せてしまうことは老化現象の1つであり避けることはできません。
老犬が痩せたからといって無理に寝ている愛犬を起こして運動をさせる、多くのフードを食べさせることは、体調不良を引き起こしてしまう可能性が高いため行わないように注意しましょう。
病気によるもの
犬の病気の中には「体重減少」が症状の1つとして見られるものがあります。そのため、老犬が痩せてきたときに飼い主さんの判断のみで「老化現象」と決めつけてしまうことは注意が必要です。
老犬が何かしらの病気にかかっていないか確認するためにも、可能ならば年に1.2回の頻度で健康診断を受けることをおすすめします。
健康診断のために行う検査にはさまざまな種類があるため、どの検査が愛犬に必要かどうかは獣医師と相談して決めるようにしましょう。
老犬が痩せたときに特に注意すべき症状
では老犬が痩せてきたときにどのような症状が見られたら、病気によるものである可能性が強くなるのでしょうか。ここでは、飼い主さんに注意してほしいポイントを解説していきます。
急激に痩せる
肥満対策として食事制限などを行っていない犬に1か月で3~5%以上の体重の減少が見られる、なでたときにあばら骨や背骨といった部分が前より触れてゴリゴリするという状態が見られる状態を「急激な体重減少」と判断します。
よって老犬にもこれらの状態が見られたら、動物病院に相談することをおすすめします。
食欲があるのに痩せる
食欲があるにも関わらず老犬に体重減少が見られる場合は、膵臓から出されるインスリンというホルモンがうまく働かなくなることによって高血糖の状態が続いてしまう糖尿病などの疾患である可能性があります。
まずは与えているフードの種類やカロリー量が愛犬に適切かどうかを確認し、問題がなければ速やかに動物病院を受診するようにしましょう。
ご飯を食べない
犬の食欲不振は、あらゆる病気に見られる症状の1つとなるため様子を見ることはあまりおすすめできません。特に体力がない老犬においては、食欲不振以外の症状がない場合でも半日ほど食べない状態が続くならば、動物病院を受診したほうが安心です。
なお、老犬が食べたそうにしていても食べることをためらう、口臭やよだれが多いなどの症状がみられるときには口内炎や歯周病といった病気である可能性が高くなります。これらの疾患の診断・治療には特別な器具が必要となるため、可能ならば歯科に力を入れている動物病院をおすすめします。
便や尿の変化
下痢が続く場合は栄養を吸収できていないだけではなく脱水症状を引き起こしてしまう危険性があるため、特に体力がない老犬においては注意が必要となります。また、老犬は筋肉量や消化機能の低下により便秘にもなりやすく、放置しておくと慢性の便秘となって結腸が拡張してしまう巨大結腸症となることもあります。
また、おしっこをしたそうなのに出ていない、逆に1日に何回もおしっこをする場合などは尿石症や腎臓病といった泌尿器系の疾患の可能性が考えられます。これらは重症化してしまうと生命の危険に繋がることが多いため、老犬の排尿の様子はよく観察するようにしましょう。
老犬が痩せてしまった際の対策
加齢に伴う体重減少によって老犬が痩せてしまった場合、飼い主さんの中には愛犬の高齢化に直面して悲しくなってしまう方もいるでしょう。しかし、それだけ長い時間を愛犬と過ごせたということはとても幸せなことであり、また高齢となった愛犬に快適な生活を続けてもらうために飼い主さんができることは以下のようにたくさんあるため、ぜひ参考にしてください。
生活環境を整える
痩せて筋肉量や脂肪量が減少した老犬は寒さに弱くなる場合があるため、嫌がらなければ服などを着せて体温の低下を防いであげるようにしましょう。また、夏でも老犬が冷房によって冷えてしまわないように部屋の一部にペット用のホットカーペットを常に敷いてあげることもおすすめです。
食事を愛犬にあったものに変える
老犬が必要としているカロリー量や栄養素を必ずとることができるように、今の愛犬の状態に合ったフードを適切な量と方法で与えてあげましょう。飼い主さんのみでの判断が難しければ、かかりつけの獣医師に相談するという方法もあります。
適度な運動
老犬が嫌がらなければ、少しの時間でもいいので愛犬のペースに合わせて散歩に連れて行ってあげましょう。もし、自力で歩くことが難しい状態ならば、ペット用のキャリーに乗せて外の空気を感じさせるだけでも老犬には良い刺激となります。
触れ合う時間をより確保する
多くの老犬は、飼い主さんにより甘えるようになる傾向があるため、可能な限り時間をとり愛犬と触れ合う時間を持つことをおすすめします。優しくなでてあげたり、声をかけてあげたりすることで老犬はリラックスするため、精神的な安定につながります。
まとめ:老犬が痩せてきた時にはその他の症状に注意しよう
老犬が痩せる原因として、加齢以外にもフードが合っていなかったり病気の症状であったりといったことが考えられます。特に急激な体重減少や食欲不振、トイレの異常が見られた場合には様子を見るのではなく、動物病院を受診することをおすすめします。また、加齢現象でも老犬が快適に過ごすことができるように生活環境を整えてあげることも大切です。
大切な家族の一員である愛犬との時間を今まで以上に大切にするとともに、体重減少に気づくことができるよう少なくとも月1回は体重測定を行うようにしましょう。