老犬になると消化器官が衰え、食欲が低下したり、消化不良や嘔吐をしたりなどの心配が増えていきます。誤嚥などの問題もあるので、老犬には老犬用のフードを用意してあげることが大切です。
大型犬であれば6歳ほどから、小型犬なら10歳ころから老犬(シニア期)と呼ばれるようになります。愛犬にいつまでも食事を楽しんでもらうためにも、飼い主さんによる手作りご飯はとてもおすすめです。栄養価の高い食事は、認知症予防などにもつながります。
そこでこの記事では、ご飯作りで注意したいポイントやおすすめのレシピについて解説します。
目次
老犬のご飯で注意したいポイント<
老犬のご飯の際、注意したいポイントとしては食べる姿勢や食器、食事回数、食事量、食事の固さ、食事の内容などたくさんあります。愛犬の状態にあわせてベストな食事を提供してあげることで、愛犬はたくさん食べてくれるようになるでしょう。
食べる姿勢と食器
食べる姿勢は犬にとってとても重要です。飲み込む力が低下している老犬は姿勢によって、誤飲などの危険性も考えられます。食器の位置を頭の位置と同じくらいまで高くして、食べやすい姿勢で食べられるように工夫してあげましょう。
台を使用したり、手持ちで与える食器、斜めになった食器などを活用したりするのがおすすめです。寝たきりの子の場合はシリンジ(針なし注射器)などを活用して食事を与えてください。
食事の回数や量の適正
老犬になると消化機能が低下するため、一度にそれほど食事量が食べられません。1日量を3、4回に分けてあげるようにするといいでしょう。食欲がない場合には、さらに回数を増やして食事量をしっかり与えるようにしてください。食事量があまりとれない場合には、栄養価の高いフードを選び、少量でもしっかり栄養を取れるようにする工夫が必要です。
食べやすい固さのフード選び
老犬になると噛む力も低下していきます。ドライフードなどの硬いフードでは、食べづらい可能性があります。ウェットフードなどの柔らかいフードを与えるようにしてください。
水分不足にならないよう、フードにはしっかりと水分を含ませてあげておくのがおすすめです。
噛む力、飲み込む力がなくなってしまっている場合には、流動食と呼ばれるスープ系に変更するといいでしょう。嗜好性をアップするために、ミルクや鳥の茹で汁を活用するのもおすすめです。
老犬に手作りのフードを勧める訳
老犬のために老犬用フードに変更することはとても大切ですが、市販のフードは添加物が多く配合されている場合があり健康面で心配があります。
手作りフードは使用している食材が全て把握できるため、犬のために安全性の高いフードを提供してあげられます。
嗜好性が高い食材を選ぶこともできるので、食事量のアップも図れるでしょう。
また、認知症や腎臓病などの病気の予防にもつながります。
犬に優しい食材を使用できる
ご飯を手作りする場合、食材を厳選することができます。安全面に不安のある食材を一切使用せず、無添加で安心なものを与えられることが可能です。
消化性のいい食材のみで作ったり、関節ケアにこだわった食材でつくったりするなど、愛犬にぴったりのフードを作ってあげられます。
好みのモノを与えられる
使用する食材を選べるため、愛犬の好きな食材を使用した食事作りも可能です。嗜好性の高い食材を使用することで、少しでも多くの食事を食べてくれると嬉しいもの。逆に嫌いな食べ物を省くことも可能です。
老犬におすすめの手作りご飯レシピ3選
老犬に手作りフードを与えるメリットはご理解いただけたでしょう。でも。どんなフードを与えればいいのか、解らないと方も多いかもしれません。ここでは、実際に愛犬にオススメできる手作りフードのレシピを3つほどご紹介します。
サンマと大葉の炊き込みごはん
魚系が好きな犬には、サンマを使用した炊き込みごはんがおすすめです。サンマは血流をよくし、体内の悪玉コレステロールを減らしたり、脳細胞を活発化させ、認知症予防につながるなどたくさんの効果が期待できます。
作り方も簡単で、まいたけや大葉と一緒にご飯を炊き、別で焼いたさんまを混ぜるだけです。さんまや大葉の香りが食欲をそそることでしょう。ナッツや生野菜をトッピングすることで、消化酵素を補給することができます。
■作り方
1 炊く
米を洗い炊飯器に分量の水とともに入れて30分おき、ささがきにしたごぼう、細かくした大葉、まいたけを入れて普通に炊く。2 とる
さんまは両面をこんがり焼き骨をとる。3 ふる
1が炊けたら2を混ぜ10分ほど蒸らし、仕上げに納豆をふる。
豚しゃぶとごぼうのサラダ
メインの食材である豚肉には、疲労回復効果があります。
オメガ3オイルをプラスすることで、ガンやアレルギーの予防にも期待大です。消化性をアップするために生姜や消化酵素をトッピングすると、老犬にも安心して与えられます。ごぼうは食物繊維が多いため、便秘気味のワンちゃんにもおすすめです。
■作り方
1 切る
豚肉を一口大に切る。ごぼうとニンジンはささがきにし、ごぼうは酢水(分量外)につけアクを抜く。しょうがはみじん切りに。2 ゆでる
豚肉、ごぼうをそれぞれゆでる。3 盛る
器に野菜と豚肉をのせ、ドレッシングと発酵野菜のふりかけをトッピングする。
豆腐ステーキ”トマトとシラスソース添え”
豆腐はイソフラボンが豊富な食材として有名ですが、骨や歯を丈夫にするカルシウムや腸内環境を整えるオリゴ糖も含まれています。
老犬はカルシウムが不足し骨粗鬆症などの心配があるので、しっかりとカルシウムを摂取することが大切です。トマトはリコピンが豊富で、ごま油と一緒に炒めることで吸収力が高まります。
食べやすい固さのメニューなので、食欲がないときにおすすめのレシピです。
■作り方
01:豆腐を水切りして、4等分に
02:トマトを1cmぐらいに切る
03:豆腐に片栗粉をして、多めの油で焼く
04:シラスをごま油で軽くいためて、トマトを入れて炒める
05:お皿に3の豆腐、4をのせたら完成
まとめ:手作りご飯を作ってみよう!
老犬になると、消化機能が退化するため食欲が低下していきます。老犬にあたえるご飯は趣向性が高いことがとても大切。また、ドライフードなどの固いご飯よりも、消化吸収がしやすく栄養価の高いご飯を与えることが重要です。噛む力や飲み込む力がなくなってしまっている場合は、流動食がおすすめです。
手作りフードは、愛犬にあわせてぴったりの食事を用意できるので、犬の栄養状態をしっかりキープできるようになります。
手作りご飯を作ることは、飼い主ができるケアの一つです。どうしても困ったときは、動物病院の獣医師に相談してみるのもよいでしょう。