大切な家族である愛犬との死別、元気なうちはなかなか想像もつきませんが、いつかは必ず訪れる瞬間です。きっとその瞬間にはさまざまな感情が湧き起こり、冷静に物事を考えるのが多かれ少なかれ難しくもなるでしょう。
そんな中で、もし愛犬が亡くなった後のことを何も考えていなければ、次に何をすればいいのかを探すことから始めなければならず、非常に時間とエネルギーを消費します。場合によっては、納得のいくお見送りができなくなってしまうかもしれません。そのため、前もって情報を集めておくことが、しっかりとお見送りしてあげるためにも大切なことです。
本記事では、愛犬が亡くなってしまった後にするべきことや、ペットロスにならないためにできることを紹介します。
目次
【愛犬が亡くなったらやること】①愛犬のからだを整える
まず行うべきことは、亡くなってしまった愛犬のからだを清め、整えてあげることです。人が亡くなった際に行う「お清め・死化粧」と似た処置です。動物病院で亡くなった場合には動物病院のスタッフが行ってくれることがほとんどですが、自宅で亡くなった場合には、ご家族が行うこともあります。
ちなみに、かかりつけ病院があれば、自宅で亡くなった場合でもこの処置を行ってくれることがあります。かかりつけ病院に相談してみるのも1つでしょう。
具体的には以下のような処置をしていきます。
自然な姿勢をとらせてあげる
犬が亡くなる際の姿勢は様々です。もしも不自然だったり窮屈そうな姿勢をとっていたりするようであれば、死後硬直が始まる前に自然な姿勢をとらせてあげましょう。死後硬直は一般に亡くなって2~3時間後から始まります。なるべく早めに姿勢を整えてあげるのが理想的です。
なお、目が開いている場合、まぶたを閉じさせて、かつ閉じた状態を維持するのは難しいことが多いです。家族に抵抗がなければ少量の眼軟膏を塗ると閉じた状態を保ちやすくなります。
口・鼻・肛門にガーゼを入れてあげる
こちらも死後硬直が始まる前に行うべき処置です。亡くなってしばらくすると、体液が口や鼻、肛門から体外に漏れ出してきます。衛生的に好ましくなく、愛犬のからだを汚してもしまいます。
脱脂綿(ほぐした化粧水用コットンなど)を口や鼻、肛門にミッチリと隙間なく詰めて、体液が漏れ出るのを防ぎましょう。脱脂綿を詰める際はピンセットを用いると便利です。からだにコットンを詰めることに抵抗がある場合は、からだの下にペットシートなどを敷き、体液がでたらこまめに拭き取るようにしましょう。
ただし、それでもからだの汚れを完全に防ぐことはできず、衛生状態も悪化します。できれば、脱脂綿を詰めることをおすすめします。
からだを拭いて毛並みを整えてあげる
からだが汚れているときには、市販のからだ拭きシートや湿らせたタオルなどでからだを拭いて綺麗にしてあげます。他にスリッカーやブラシを用いて毛を整えたりしてもよいでしょう。からだの汚れが強い場合には、シャンプーをしてあげることも可能です。
犬のからだを冷やす
亡くなったからだは「腐敗」という過程を経て自然に還ります。腐敗はある意味、自然な営みの1つではありますが、愛犬のからだが腐敗していくのを見るのは感情的に辛いという方が大半でしょう。衛生的にも好ましくありません。
腐敗が進むのをなるべく遅らせるために、すぐに葬儀を行えない場合には犬のからだを冷やすようにしましょう。冷房を最大限に効かせ、直射日光は避けましょう。箱の中に寝かせて、保冷剤やドライアイスで冷やせるとよりよいです。
それでも夏場は1〜2日、冬場は2〜3日が限度とされます。早めに葬儀の段取りをつけるようにしましょう。葬儀会社のなかにはペット用の霊安室を備えている施設もありますので、問い合わせてみるのも1つですね。
【愛犬が亡くなったらやること】②葬儀・埋葬する
からだを整え終わったら、葬儀の準備を進める段階です。犬の葬儀の方法はさまざまですので、いざそのときになって考え始めるよりは、前もってどのようにお見送りをしたいか考えておけるとよいのかもしれませんね。具体的には以下のようなことを行います。
葬儀・火葬を行う
実際の葬儀の段取りについては、葬儀会社と相談しながら決めていくことがほとんどです。まずは葬儀会社に連絡をしましょう。葬儀・火葬の行い方は多様化してきており、ヒトのようなセレモニーを行う家庭もあれば、火葬だけを行う家庭もあります。家族が納得いく形を探せるとよいですね。
なお火葬を行っているのは民間会社だけとは限らず、地方自治体によってはペットの火葬を行う事業所を持つ自治体もあります。民間会社よりも火葬費用を抑えられる場合が多いようです。火葬後の返骨を希望する場合には、民間会社や地方自治体の事業所のどちらに依頼するかに関わらず、その希望を叶えられるかしっかりと確認するようにしましょう。
犬の葬儀については、こちらの記事で詳しくまとめています。
埋葬する
返骨を希望した場合、お骨を埋葬することが必要です。最近では埋葬の方法が増えているため、自分の気持ちに合ったものを選びましょう。
・納骨堂に入れてもらう
・お墓に埋葬する
・庭などの所有地に埋葬する
・樹木葬や散骨などの自然葬を行う
・アクセサリーに加工してもらう
【愛犬が亡くなったらやること】③自治体やかかりつけの動物病院などに連絡する
犬が亡くなった場合には、30日以内にその犬を登録している市区町村に死亡届を提出することが飼い主に義務づけられています。登録している自治体によって手続きの方法が異なりますので、具体的な部分は担当窓口に問い合わせて確認してください。
また、ペット保険に加入している場合は、保険会社への連絡と手続きも忘れないようにしましょう。
かかりつけの動物病院など、生前の関わりが深かった施設にも連絡したほうがベターです。しばらくたってから、亡くなった犬の名前宛てでダイレクトメールが送られてくるような事態を防ぐ意味もあります。ただし動物病院などへの連絡は急ぐ必要なく、諸々の慌ただしさが過ぎたあとでもよいでしょう。
愛犬の死からペットロスにならないために
これまで、長い間生活してきた飼い主にとって、愛犬は家族の一員です。そのため、亡くなってしまったのちにそのショックからペットロスになってしまう飼い主も少なくありません。重症化すると、引きこもりやうつ病になってしまう可能性もあります。ここでは、ペットロスにならないためにできることを解説します。
後悔のないように、日ごろから愛犬と過ごす
まず大切なのが、愛犬と過ごす最後の日々を後悔のないように過ごすことです。ペットロスになる原因に、「もっとしてあげられることがあったのでは…」という後悔が挙げられます。
愛犬に亡くなる前の兆候が出てきたら、もうそろそろ寿命がくるかもしれないことを覚悟したうえで、愛犬との時間を過ごしましょう。愛犬が甘えてくるのであれば、なでてあげたり、声をかけてあげたりすると良いでしょう。
丁寧に供養してあげる
丁寧に供養してあげる過程で、愛犬が亡くなった現実を受け入れられる飼い主も多くいます。
ペット葬儀は、亡くなった愛犬とお別れする大切な機会です。気持ちを整理するためにも、納得できる方法で見送るようにしましょう。
感情を出せる場をつくる
「悲しい」という感情を解放する機会は大人になるにつれ減っていき、あまり表に出せないという方も多くいるかもしれません。
しかし、ペットロスにならないためには感情を出したり、自分の気持ちを誰かに知ってもらったりすることがとても大切です。家族や親しい友人、ペット仲間であればきっとあたたかく聞いてくれるでしょう。思いきってコミュニケーションを取ってみてください。
まとめ
愛犬が亡くなった後のことについては、考えなくてはならないこと、決めなくてはならないこと、行わなければならないことがたくさんあります。しかもその中には、たとえば葬儀をどのようなかたちにするかなど、絶対の正解がなく、一般に答えを出すのが難しいことも少なくありません。
亡くなってから、乱れた感情を抱えつつ、これらのことを進めていくのは並大抵のことではありません。納得のいくお見送りをすることに集中するためにも、あらかじめ情報収集をしておくのがよいかもしれませんね。