近年、ドッグフードはどんどん新しい種類が増えてきており、その中には「老犬用」とうたうフードも多くあります。人間と同じで、犬も若い頃と老いてからでは食生活を変える必要があります。「何才以上から老犬」という明確な定義はありませんが、フードを変えるにあたっては7才を目安とするのが主流です。
この記事では7才以上を老犬として、老犬におきるからだの変化から必要カロリーの調べ方までを解説します。
目次
老犬になったときのからだの変化
老犬になるにつれ、からだに起こってくる変化や、なぜ若い頃と食生活を変える必要があるのかを見ていきましょう。
消化率の低下
老犬になると唾液の分泌量や腸管の働きが低下し、若い頃より消化率が悪くなります。若い頃と同じごはんを与えていると消化不良を起こして、下痢気味になる可能性も高まってきます。
代謝率の低下
代謝率とは、摂取した栄養素をどのくらいの割合で利用できているかという指標です。ダイエットなどで話題になる、いわゆる「基礎代謝が良い・悪い」の指標と考えるとわかりやすいでしょう。
老化に伴い代謝率は低下、つまり基礎代謝が悪いからだに変わっていきます。人間で「中年太り」いう言葉がありますが、犬も同じように老化に伴って肥満の防止が課題となってくるのです。
運動量の低下
年齢を重ねるにつれ、散歩をあまり好まなくなったり、遊ばずに寝ていることが多くなったりしている犬も多いのではないでしょうか。老犬になると発症することが多い、関節炎や心臓病などがその一因となっているかもしれません。病気ではなかったとしても、老犬になるにつれ運動量は自然と低下してきます。
筋肉量の低下
老化に伴い自然と筋肉は衰え、その量を減らしてきます。筋肉量はいわゆる基礎代謝に深く関わっており、筋肉量の低下は基礎代謝の低下に直結するのです。さらには筋肉が減ると動くのがおっくうになり、運動量も低下するために、より肥満につながりやすくなります。
老犬に求められるごはん
ここまでご紹介したようなからだの変化があることを踏まえ、老犬のごはんに求められる条件について解説します。
若い頃と同じ量では太る!?老犬は必要カロリーが減る!
老犬のごはんを考える上で最も重要なのが、必要カロリーが減るということです。なぜなら運動量の低下や、基礎代謝の低下が起きてくるから。若い頃と同じごはんの量ではカロリーオーバーで肥満になりやすいため、老犬には低カロリーに調整されたごはんを与えるべきです。
低脂肪・高たんぱくのごはん
高脂肪なごはんとは、すなわち高カロリーのフードでもあります。また老化につれ、高脂肪なごはんを与えると消化不良をおこす犬も増えてきます。人間が年をとると揚げ物などが苦手になる方が増えるのと同じです。老犬向けのごはんは低カロリーに抑え、消化にも負担をかけないために低脂肪なものが求められます。
一方、たんぱく質は老化に伴う筋肉量の低下を遅らせるために、たくさん摂取させる必要があります。ただし腎臓病を発症しているなど、たんぱく質制限食が推奨される場合もあるので要注意です。そのようなケースでは、獣医師に相談しましょう。
消化のいいごはん
ご紹介した通り、犬も老化に伴い消化機能が低下していきます。質の良い原料から作られ、消化に負担をかけない栄養バランスが調整されたごはんが求められます。消化に良いかどうか見きわめる簡単な方法があるのです。
それには、毎日のうんちの量を観察してみましょう。消化に良いごはんは無駄なものが含まれていないので、一般にうんちの量が減ります。
愛犬に最適なごはんの量を見つけるために!
老犬の肥満防止は、最重要課題といってもいいでしょう。そのためには愛犬にちょうどいいごはんの量を見きわめる必要があります。
ごはんの量はそれぞれの犬の生活環境や性格、体格などによって個体差が大きいもの。ぜひ、この章を参考に愛犬にベストな量を探してみましょう。
最も重要な指標は体重!
人間用の体重計で構わないので、ぜひ愛犬の体重を週に1回程度は測ってあげましょう。
新しいごはんに変えるときに、与える量を商品パッケージの表示を参考に決める方も多いのではないでしょうか。パッケージに示されている量はあくまで目安です。
必要カロリー量は個体差が大きいので、表示通りの量をあげても太ったり痩せたりしてしまう場合があります。パッケージ表示の量は与え初めの参考程度と割り切り、体重の増減を指標とするのがおすすめです。
必要なカロリー量の計算方法
老犬の必要カロリー量は、若い頃の必要カロリー量の7~8割が目安となります。老犬用のごはんに切り替える際には、しっかりカロリー計算をした上で、与え初めの量を決めてあげられると理想的です。
ただし、この計算で出される必要カロリー量はあくまで目安ですので、体重をしっかりチェックして、適時調節してあげることが大切です。
迷うようなら動物病院に相談!
ごはんの量の目安の付け方は、今まで理想的な体型で維持できていたことが前提となります。肥満であったり、逆にやせ過ぎていたりする犬の場合には目安とすることができません。
もし愛犬が理想体型でなかったり、そもそも理想体型かどうかわからなかったりする場合には、動物病院に相談しましょう。体型判定から必要カロリー量の計算まで行ってくれるはずです。
まとめ:必要なカロリーを計算しよう!
老犬になると若い頃に比べて必要なカロリーは大きく減ります。若い頃と同じ感覚でごはんを与え続けていると知らないうちに愛犬を肥満にさせてしまっているかもしれません。肥満は万病のもとです。
愛犬を肥満にさせないためにもしっかりカロリー量を計算し、年齢に合わせた食生活に変えていってあげましょう。もし迷いや不安があるならば、動物病院に相談することも忘れずに行ってください。