【獣医師監修】この寝方は大丈夫?犬の具合が悪いときの寝方と対処法について解説

犬 具合が悪い時の寝方

犬の寝姿は様々ですね。丸くなったり、足を横に投げ出したり、リラックスしているときはヘソ天で寝たり。なかには、具合が悪いときにしか見せない寝方もあります。今回は具合が悪いときの寝方と、病院に行くタイミング、対処方法について解説します。

犬の具合が悪いときの寝方

犬がぐっすり寝ているときにふと心配になることはありませんか。スヤスヤとよく寝ているのか、具合が悪くて動けないのか、見分けが難しいときがあります。
犬の具合が悪いときの寝相にはどのようなものがあるのでしょうか。

胸を床につけておしりを高くしている

この寝方は「祈りのポーズ」ともいわれます。お腹が痛いときに少しでも痛みを和らげようと胸を床につけ、おしりを高くしてお腹を宙に浮かせたような姿です。
痛みがひどいときにこのポーズをとることが多く、膵炎などが疑われます。膵炎は腹痛が激しく急激に悪化すると命にかかわることもあります。

祈りのポーズを繰り返しているときには、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

震えながら寝ている

丸くなって小刻みに震えている状態はどこかに痛みがある可能性があります。お腹の痛み、関節の痛み、椎間板ヘルニアなどの痛みを我慢しているときに小さく震えることがあります。ほかには怖いとき、熱があるときにも震えます。
ときどき震えるのではなく、ずっと震えるときには注意が必要です。

震えているのが心配で触ろうとするとうなる場合は痛みが激しいことが多いですので、必ず病院を受診しましょう。

寝ているときの呼吸が速い

寝ているときに呼吸が速い場合は、呼吸が苦しく上手く息ができていない可能性があります。心臓が悪い、肺炎など呼吸器系のトラブル、貧血、熱があるなどのときに呼吸が速くなることが多いです。

急変する恐れもあるため、様子を見ないで早めに受診した方が良いでしょう。

わんちゃん座りのままウトウト

わんちゃん座りのことを「犬座姿勢(けんざしせい)」といいます。犬座姿勢は呼吸が苦し過ぎるときにとる姿勢で、危険な姿勢のひとつです。呼吸が非常に苦しく鼻を上に向け首をまっすぐ伸ばし空気の通り道を確保するような姿勢が犬座姿勢です。

そんな姿勢は苦しいだろうと無理に体勢を変えようとしたり、横向きに寝させようしたりすると呼吸停止を起こしてしまう恐れがあります。犬座姿勢をとっている場合はピンチだと考えてください。

わんちゃん座りをしていても短時間で、他には問題がない場合は座っているだけと思って間違いないです。しかし、犬座姿勢のまま体勢を変えようとせず、ほかにも体調不良がある場合は危険です。

犬が寝ているときに手足が動く場合は?

犬 具合が悪い時の寝方

寝ている状態で、手足がバタバタ動いていると心配になります。寝言なのか、苦しくてうなっているのかも区別しにくいですね。このような場合には2つ考えられます。

夢を見ている

人のように自覚できないので判断が難しいですが、犬も夢を見るといわれています。
犬の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は浅い眠りで、ノンレム睡眠は深い眠りです。犬の場合はレム睡眠が80%、ノンレム睡眠が20%といわれていて、眠りが浅い時間が長いのが特徴です。

人はレム睡眠が約30%、ノンレム睡眠が70%で比較的深い眠りの時間が長くなっています。レム睡眠時、からだは休んでいますが、脳波は活発に動いています。

このレム睡眠のときに夢を見ているとされています。よく見ていると眼球が動いている状態であることが多いです。口をクチャクチャさせたり、むにゃむにゃと寝言のような声が出たり、びくっと動き手足を泳ぐように動かすなどするとびっくりしてしまいますね。

てんかん発作

犬もてんかん発作を起こし、その割合は100頭に1頭といわれています。てんかん発作が起こるとけいれんが起きて足をバタバタと動かす場合や、ピーンと突っ張ったようになり大きくからだが震える場合、どこか一部がぴくぴく動く場合などがあります。

症状が重くなると失禁し、よだれがたくさん出るといった症状を伴うこともあります。夢を見ているときの動きと見分けがつきにくいですが、治まった後に意識がない、フラフラする場合はてんかん発作の可能性が高いでしょう。

犬がリラックスしているときの寝方

犬 具合が悪い時の寝方

一方で犬がリラックスしているときの寝相にはどのようなものがあるのでしょうか。
体型によって寝相は異なりますが、代表的なものを紹介します。

丸くなって寝る

丸くなって寝ている姿は犬の最も一般的な睡眠姿勢といわれています。この寝方はお腹が温まりますし、大切な内臓を守れる寝方で寒い時期によくみられるでしょう。
緊張状態や、体調がすぐれないときにも身を守るためにこの態勢をとることもあります。

足を横に投げ出して寝る

横向きの寝方は楽な態勢で、気持ち的にもリラックスでき快適な環境であるときによく見られます。足をだらんと横に出している状態はさらにリラックスできているといえるでしょう。

ヘソ天で寝る

仰向けになりお腹を見せる状態で寝る姿勢は、「ヘソ天」と呼ばれます。お腹は犬にとって急所なので緊張状態にあるときには見せようとせず隠すようにします。
ヘソ天で寝ているのは、非常に無防備で安心しきっており、とてもリラックスしている状態といえます。

まとめ

リラックスしているときの寝方と具合が悪いときの寝方について紹介しました。
気になる寝方をしているときには動画を撮っておきましょう。いつも通り食欲や元気があっても、気になる場合は必ず動物病院を受診し診察を受けましょう。様子を見るのは禁物ですよ。

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WITHこの記事を監修した人

平松 育子

平松 育子

山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部)卒業 山口県内の複数の動物病院で代診を務めたのち、2006年有限会社ふくふく動物病院を開業。2023年ふくふく動物病院を事業譲渡したのち、大手動物病院で院長を務める。 ペット系記事のウエブライターを10年経験し、2023年にペットの記事を執筆・監修する会社「アイビー・ペットライティング」を立ち上げ代表を務める。

ABOUTこの記事をかいた人

ふぁみまる編集部

今まで犬を始め、フェレット・ハムスター・カメ・インコなどさまざまなペットを飼育してきました。現在は、ジャックラッセルテリアと雑種の2匹を可愛がっています。趣味は愛犬たちとの旅行です。 このメディアでは、多くの飼い主の方々の不安や疑問・困っていることを一緒に解決していきたいと考えています。