老猫が突然、普段とは全く違う様子でぐるぐると回りだしたとしたら…。原因も、どう対応したらいいのかもわからずにパニックになってしまう飼い主が多いのではないでしょうか。この記事では、老猫がぐるぐる回るときの原因や飼い主ができる対応についてまとめています。
目次
老猫がぐるぐる回るときの主な原因 3つ!
老猫がぐるぐる回るという症状は、比較的珍しい症状ではありますが推測できる原因はしっかりとあります。ここでは頻度の多い3つの原因についてまとめています。ぜひチェックしてみてください。
認知症
ヒトの認知症でいう「徘徊」と似たような症状が、ネコの認知症でも認められることがあります。「徘徊」とは、ウロウロとあてもないように歩き続ける症状であり、ときに同一の方向にぐるぐる回ることもあります。
認知症によって症状が起きている場合には、呼びかけに反応しなくなるなどの認知障害が普段から継続的にみられることが多いです。
神経症状の1つ
いわゆるてんかん発作や脳腫瘍などで脳が正常なはたらきを保てていないとき、異常な様子でぐるぐる回るという症状を示すことがあります。このとき脳は正常なはたらきを失っている、すなわち正常な意識はなく、呼びかけなどの刺激に対して反応を示さなかったり、逆に異常に過敏な反応を示したりします。
全く別のケースとして、中耳炎などで平衡感覚の異常が生じると、猫自身は真っ直ぐ歩いているつもりでも、左右どちらかに曲がっていってしまうようになります。結果として、ぐるぐる回るという症状が観察されることがあります。
このとき意識障害はありませんので、呼びかけなどには正常に反応するでしょう。平衡感覚に異常がある場合は、首が傾いたり、眼振が起きたりすることもあるので、観察が必要です。
痛みや違和感、不安など
何らかの原因によって痛みや違和感、不安が引き起こされていると、猫はソワソワと落ち着き無く歩き回ることがあります。代表的なのは尿道閉塞でおしっこが出せない時です。
ソワソワと歩き回り、トイレの周囲をぐるぐる回る様子が観察されることが多いです。ほかに便秘や、胃腸炎などによる下痢でも同様の様子が観察されることがあります。
老猫がぐるぐる回るときの対応 3ステップ
老猫がぐるぐる回る原因をまとめたところで、次に具体的にはどのような対応をとればいいのかをご紹介します。大きく分けると、以下の3つのステップです。
ステップ 1. よく様子を観察する
まず、ぐるぐる回る原因の見当をつけるために猫の様子をよくよく観察しましょう。観察のポイントは以下の3つです。
①認知機能丨
呼びかけなどの刺激に反応するか、表情はいつもどおりか
②全体的な体調丨
食欲、下痢嘔吐などの消化器症状の有無、頻尿あるいは排尿不可の有無
③首が傾いたり、眼振があったりはしないか
これらの情報を集めたら、次のステップです。
ステップ 2. 動物病院へ
猫が異常な様子でぐるぐる回っているとき、原則は動物病院に連れて行きましょう。思わぬ病気が隠れていることもあり、様子をみて治ることはあまりありません。
ステップ1で集めた情報を獣医師に伝えられると、診察がスムーズに進みやすいです。メモ用紙などにまとめておけるとよいですね。猫が怪我をするリスクを考えると、猫が少し落ち着いたタイミングを見計らって連れ出せると理想的です。
ただし全く落ち着く気配がなさそうなら、怪我に注意しながら連れて行きましょう。
ステップ 3. 自宅で過ごす工夫を
動物病院で、何らかの病気であると診断されたならば、獣医師とよく相談しながら治療をしていきましょう。一方で、認知症による徘徊であったのであれば、生活の質を保ちながら自宅で過ごす工夫をしていくことになります。詳しくは次章でまとめていますので、参考にしてみてくださいね。
認知症の徘徊への対応 3つ!
認知症の徘徊だったと判明したら…。これからどうすればいいのか、対応に迷ってしまうかもしれません。認知症の徘徊への対応の原則は、「徘徊をやめさせようとしない」ことです。徘徊をやめさせることは困難で、無理にやめさせようとしても猫と人のお互いにストレスがたまるだけでしょう。
発想を切り替え、徘徊があっても生活の質を保てるよう、うまくつきあっていけるよう工夫していくことが大切です。
1. 怪我を防止する工夫を!
徘徊を示す猫は認知機能が低下していることでしょう。また高齢がゆえに運動機能も低下していると考えられます。転倒や落下などで猫が思わぬ怪我をしないように環境を整えましょう。
具体的には、家具の角を丸める、出っ張りに保護材をつける、あまりに高い段差(キャットタワーなど)はなくす、などが考えられます。
2. 徘徊する理由を考えてみる
認知症による徘徊も、実は猫にとってはやりたいことがあって歩き回っているのかもしれません。たとえば「なんともいえない不安があり、安心できる場所を探している」「ご飯を食べたことを忘れ、探し回っている」などが考えられます。
膝の上に乗せて撫でてみたり、少量のご飯を食べさせてみたりして徘徊がやむかどうか観察してみましょう。
3. 安心できる隠れ家を与える
不安からくる徘徊行動を抑制することが期待できるほか、行動範囲を制限することで思わぬ怪我を防止する効果もあります。隠れ家として活用できるのは、小さめのサークルや、キャリーケースなどがあるでしょう。
まとめ
老猫がぐるぐると回っているとき、認知症による徘徊と決めつけずに、まずは動物病院へ連れて行くことが大切です。動物病院に相談した結果、本当に認知症らしいとなったら、この記事を参考に人と猫がお互いに快適に暮らせるような工夫をしてみてくださいね。