年をとったからか、ご飯の量が減ってきた……。いつもはしっかり食べていたのに、急に食べなくなって心配……。なんてことはありませんか?
今回は、ご飯を食べなくなる原因と対処法について解説します。急に食べなくなったときは、病気の可能性が高いため、できるだけ早く動物病院に連れて行ってください。
目次
ご飯を食べないってどれくらい重症?
「ご飯を食べない」とひとことで言っても、重症度には幅があります。
食べる量が減っているケース
年齢を重ねてきて徐々に食べる総量は減っていても、一口目の食いつき自体は良い場合は、老化に伴う変化の可能性が高いでしょう。年齢を重ねると必要なカロリー量が減少したり、消化能力が低下したりすることで自然と食べる量が減っていきます。
老化が原因である可能性が高ければ、少し様子を見ることも選択肢の1つです。様子を見る際は、後述の自宅でできる対策もぜひ参考にしてみてください。
急に食べなくなったケース
一方で、急にご飯を食べなくなった(一口目から食いつきが悪い)場合は、重い状態が隠れていることがあるため、注意が必要です。できるだけ早くに動物病院に連れていくほうがよいでしょう。
動物は基本的には体調不良を隠す傾向にあります。それを隠しきれないということは、それだけ重い体調不良がある可能性が高いのです。ただし若い頃から食べムラが激しく、丸一日食べないこともしょっちゅうある犬の場合には、全く食べなくても1日程度は様子をみてもいいかもしれません。
ただし、それも食欲低下以外の症状がない場合に限ります。他の症状があるのならできるだけ早く動物病院に相談に行くことをおすすめします。
老犬に多い!食欲が落ちる主な原因3つ!
年齢を重ねてくると、若い頃と比べて病気も増えてきます。老犬に特に多い、食欲不振の原因をご紹介します。
1. 全身状態の悪化
腫瘍や内蔵の病気などで、からだ全体の調子が悪くなることで食欲が落ちます。特に慢性腎臓病や、心臓病はそれぞれ老犬の死因の3位と2位を占めるほど多い病気です。これらの病気は早期発見、早期治療が大切な病気でもあるので、普段から愛犬の様子をよく観察して、少しの違和感も見逃さないように心がけておけるとよいですね。
2. 消化器疾患
年齢を重ねると胃腸の機能が低下し、それに伴って消化不良を起こしやすくなります。単なる消化不良や軽い胃腸炎であれば自然に治ることがほとんどです。一方で、重い胃腸炎や膵炎の場合は動物病院での治療が必要です。嘔吐や下痢などの消化器症状にも注意を払っておきましょう。
3. 口腔内疾患
いわゆる歯肉炎・歯周病が進行すると痛みを伴ってくるため、食欲が落ちることがあります。歯周病の治療には動物病院での処置が必要です。口腔内疾患による食欲不振は、比較的見分けがつきやすくもあります。
口をあけて歯肉の退縮がないか、歯肉炎や歯石の付き方はどうか、口臭の強さはどうかなどを確かめてみましょう。
他にこんな症状がないか気をつけて!
食欲不振以外にも異常があるときには、病気が隠れている可能性が高いため、より慎重な対応が必要です。以下のような症状を伴っていないか注意しておきましょう。
- 消化器症状:下痢軟便、嘔吐など
- 多飲多尿:お水をたくさん飲んで、尿もたくさんする
- 元気がない
- よだれ、口臭
- 呼吸が荒い
もし以上のような症状を伴っているのであれば、なるべく早く動物病院を受診しましょう。深夜などかかりつけの病院がやっていない時間帯であれば、夜間救急の受診の検討がおすすめです。
食欲がないときの対処法
食欲がないときに自宅で行える対処法と、動物病院に連れて行ったときに一般的にとられる対応について紹介します。
自宅で行える対処法
少しでもフードへの食いつきをよくする工夫をご紹介します。
- 香りを強める:電子レンジで加熱、開封したてのフードを与えてみる
- やわらかくする:お湯でふやかす、ウェットフードにする
- 少量ずつ、頻回にわけて与える
ただし、下痢や嘔吐を伴っている場合には絶食させて胃腸を休めることが勧められる場合もあります。無理に食べさせようとすることは避けて、動物病院へ相談するようにしましょう。
病院で主に行われること
食欲不振で動物病院を受診すると、主に以下のような対応をとられることが多いです。
- 問診と身体検査:重症度の判定や、検査の方針を定めるために必ず行う。
- 血液検査:スクリーニングといって幅広い項目を検査するケースが多い
- 画像検査:獣医師が必要とした場合には行う。レントゲン検査やエコー検査など
前提として、食欲不振の原因診断は難しいことが少なくありません。ありとあらゆる種類の不調が食欲不振を引き起こしうるため、幅広い検査が行われることが多いでしょう。場合によっては全身精査が必要となることもあります。治療は対症療法のほか、原因を突き止めることができたなら原因治療を行うこともあります。
まとめ
老犬の食欲が落ちているときは、注意深く観察しつつ、できれば動物病院に連れて行ってあげられると安心です。思わぬ病気が隠れていることもあるため、「年のせいだから」と決めつけずに慎重に対応してあげるようにしましょう。