老猫と若い猫において、からだが必要としている栄養バランスは全く異なります。この記事では、老猫に最適な栄養バランスを若い猫との違いについて解説します。
なお、「老猫」が「何歳以上からか」という点について明確な定義はありません。この記事の中では、「老猫」を「11歳以上の猫」として解説していきます。
目次
猫の11歳は人間でいうと60歳!
猫年齢を人の年齢に換算するいくつかの式のうち「24 + (猫の実年齢-2) × 4」で計算した場合、猫の11歳は人でいうとちょうど60歳です。人間の60歳といえば、一般に「老化による変化」がそれまでと比較して急速に進行していく年齢です。
同様に、猫も11歳あたりから「老化よる変化」が急激に起こり始めると考えられています。その変化の代表的なものとして、次の4つが挙げられます。
- 筋肉量・骨量減少
- 運動量低下
- 食べる量の低下
- 腸の消化や運動機能低下
老猫の栄養バランス丨意識すべきポイント!
前述のようなからだの変化に伴い、若い頃とは理想的な栄養バランスが変わってきます。老猫の栄養バランスを考える時に、意識しておきたいポイントをご紹介します。
低カロリーを意識する!
運動量や筋肉量が低下するため、若い頃と比べて必要なカロリーが大きく低下します。カロリーは20〜30%が目安となるため、オーバーカロリーによる肥満に注意が必要です。
タンパク質多めを意識!
老齢になるにつれて、フード中のタンパク質含有量を増やすことが推奨されています。加齢に伴う筋肉量の低下を緩和し、病気への抵抗力を保ちましょう。加齢で食が細くなることも多いので、若い頃よりも高タンパクな食事が適しており、目安はタンパク質の含有量が26〜30%のフードといわれています。
ただし、腎臓機能が低下している場合はタンパク質を制限する場合もあるため、主治医に相談しましょう。
脂質少なめを意識!
老猫のフードは、低脂質のものが適しているとされています。脂質はカロリーが高いので、カロリーオーバーになりがちです。脂質を代謝する力も衰えているので、低脂質のフード選びを意識しましょう。ただし、過度な制限はせず、特にDHA・EPAなどに代表される必須脂肪酸は不足しないようにする必要があります。
必須脂肪酸の積極的な摂取は、腎臓や関節の健康維持に役立つほか、認知症の進行抑制効果も期待されます。必須脂肪酸の補給のためにサプリメントを活用するのも1つの選択肢かもしれません
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リンが過剰にならないように注意!
リンを過剰に摂取させると、腎機能の低下を早めることが知られています。老猫に多い病気の中で、最も代表的なのが「慢性腎臓病」です。慢性腎臓病は徐々に腎機能が低下していく病気で、初期は症状が出づらく、気づかぬうちに病気が進行していることも多くあります。
くれぐれもリンの過剰には注意しましょう。リンは肉類や魚類、乳製品に多く含まれています。特に総合栄養食にこれらをトッピングしている家庭では注意が必要です。
老猫にあげるべきものは?
それでは、老猫にあげた方が良いものをご紹介します。
基本は「総合栄養食」
年齢に合わせた総合栄養食を与えるのが、基本です。総合栄養食とは、水とそのフードだけでさまざまな栄養を満たせるフードのことです。この基準を満たすフードは包装に「総合栄養食」との表示がされています。
さらに、選ぶときには「老猫用」などではなく「11歳以上用」と年齢が示されているものを選ぶと安心です。なお、慢性腎臓病などの病気を抱えている猫は療法食が必要なこともあります。フード選びに迷ったら獣医師に相談をするようにしましょう。
トッピングは少しで!
これまでの習慣や老齢になって食が細くなったことから、カツオ節やミルクなどをトッピングしている家庭もあるかもしれません。しかし総合栄養食に、何かをトッピングすると特定の栄養素が過剰になりがちです。トッピングすること自体が悪いことではなく、その量に注意が必要です。
食欲を増させたい場合には、市販の猫用おやつをほんのちょっとだけにするのがおすすめです。水分補給もさせたいのなら、リンの含有量を調整したミルクを選ぶのがよいでしょう。
サプリメントは余裕があれば
さまざまなサプリメントが市販されているので、愛猫の状態や家族の余裕などを考えて、与えるかを判断しましょう。前述で紹介した通り、必須脂肪酸のサプリメントは腎臓、関節を含めたからだ全体の健康維持に役立ってくれることが期待できます。
何かサプリメントを与えたいけど、何を与えればいいのかわからない場合には、これらを選ぶのも1つでしょう。なお、間違っても人間用のサプリメントは与えないでください。猫と人間の理想的な栄養バランスは全く異なっており、かつ人間の健康に役立つものが猫には有毒なこともあります。
まとめ
若い頃とはさまざまな変化が出てくる老猫の栄養バランス。長く健康で一緒に過ごしていくためにも、栄養バランスにより注意を向けながら暮らしていけるとよいですね。原則は年齢に合わせた総合栄養食を食べさせることですが、持病を持っている猫では療法食が必要となることもあります。
迷うようであれば獣医師に相談するようにしましょう。愛猫の状態に合わせたサプリメントなども相談にのってくれるはずです。