体調不良なのかどうか見わけるのが難しい症状の代表例が「老犬がごはん(ドッグフード)は食べないのに、おやつは食べる」といえます。これは何か病気や不調のサインなのだろうか、あるいは単なる選り好みなのだろうか…。多くの飼い主が悩んでしまうものです。この記事では、老犬がおやつしか食べない時に、それが病的なのかそうでないのかを見分けるポイントをまとめています。
目次
ごはんは食べないのに、おやつは食べる!?主な原因 3つ
老犬がおやつしか食べないときに考えられる主な原因とその理由ついて詳しく解説していきます。
体調が悪い(食欲不振)
さまざまな原因によって食欲が落ちており、嗜好性が高いおやつしか食べたいと思えない状態の可能性があります。食欲不振の場合には、他にも「元気がない」などの何らかの症状が見られることが少なくありません。
よくよく犬の様子を観察することが見わけるために重要なこととなります。観察すべき主なポイントについては次の章でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
嗅覚が落ちている
鼻炎などで嗅覚が落ちているときには、匂いが強いものしか食べなくなることがあります。特に開封後時間がたったドライフードは風味が落ちているので、食いつきが悪くなりやすいです。鼻炎が起きているときには鼻水やくしゃみ、鼻血といった症状を伴うことが多いです。
また、老犬の鼻炎の原因として多いのが重度の歯周病です。歯の様子もあわせて観察するとよいでしょう。
選り好みしている
フードを変更した直後であったり、もともと食べムラや好き嫌いがあったりする場合には、単に選り好みをしている可能性が高まります。特にもともと好き嫌いがある犬は、年齢を重ねるにつれてその傾向が強まることが多く、最終的にはおやつ(自分の好きなもの)しか食べないということが起きてきます。
おやつしか食べないときの対応
老犬がおやつしか食べないときに飼い主がとるべき対応を、行う順番に沿って解説していきます。
まずは他に症状がないかチェック!
病的なのかどうか目安をつけるために最も重要なのが「他の症状が認められるか認められないか」です。他に何らかの症状があるのであれば、病的である可能性が高いので動物病院に相談したほうがよいでしょう。一方で、他の症状が一切ないのであれば選り好みの可能性が高まります。チェックすべきポイントは、主に以下の点です。
- 元気はあるか
- 排泄の状態はふつうか
- 嘔吐はないか
- どこか痛そうな様子はないか
- 鼻水・くしゃみや鼻血はないか
- 歯石の蓄積や歯肉炎はないか
- そのほかいつもと違う様子はないか
次にごはんをチェック!
病的な可能性が低そうであれば、次はごはんの質が低下していないかどうかをチェックしましょう。ポイントは以下の通りです。
- 開封したのはいつか
- 匂いや色が変わっていないか
- 直近でごはんの種類を変えていないか
もしごはんの変質が疑われるようであれば、新しい袋を開封して与えてみましょう。ごはんの種類を変更しているのであれば、前の種類に戻してみるのもよいでしょう。
どうやら選り好みらしければ…
ここまでのチェックで何もひっかからなければ、単なる選り好みの可能性が高いといえます。ただし、これまで全く選り好みをしていなかった犬が、ある日急に選り好みをするようになるということは少ないです。そのような場合は念のため動物病院に相談することをおすすめします。
普段から選り好み気味だった…これはきっと選り好みだ!というときに飼い主がとるべき対応は次の章で詳しく解説します。
選り好みらしいときの対応
老犬が選り好みでごはんを食べない時の「とるべき対応」と「避けた方がいい対応」をそれぞれ解説します。
とるべき対応:ごはんを一工夫!
ポイントは「風味を強めて、新鮮なものを与える」ことです。電子レンジで温めるなどして匂いを強めると、食欲を刺激できることがあります。ドライフードでも有効な手段ですが、一般的にドライフードよりもウェットフードのほうが温めたときにでる風味が強く、より高い嗜好性が期待できます。
いま与えているドライフードが、開封後にしばらく経ったものなのであれば、新品を開封して与えてみるのもよい選択肢です。
避けたほうがいい対応:おやつを与え続ける
選り好みは「学習」によってエスカレートする、というのがポイントです。つまり「今のごはんを食べないで我慢していれば、もっと美味しいものが貰える!」と犬に覚えさせるような対応はとるべきでありません。
おやつで栄養を補おうとしたり、いろいろなトッピングを加えて、食べなければ次々に種類を変えたりといった対応がこれにあたります。これをしてしまうと、短期的には食べてくれるかもしれませんが、犬の選り好みを助長するので、将来的にはもっと困ったことになってしまう可能性が高いです。
明らかに選り好みなのであれば、犬が諦めるまで根比べが必要になります。根比べが数日間ほど続くこともあるでしょう。本格的に根比べをするのであれば、動物病院と相談し、自宅でも体重測定などをしながら行うようにしましょう。
まとめ
犬がおやつしか食べないときは、まず他に異常がないかよく様子を観察することが大切です。他に異常があるようであれば、動物病院に相談するようにしましょう。ただの選り好みのようであれば、ごはんに工夫を加えたり、心を鬼にしての根比べをしたりが必要となるかもしれません。迷うようであれば、そこも含めて獣医師に相談してみるとよいかもしれませんね。