老犬になるにつれて、便秘に悩まされるようになる犬が増えてきます。この記事では、愛犬が「今までは快便だったのに最近は年齢のせいか便秘気味になってきた……。」と困っている飼い主に向けて、老犬の便秘に関する基本的な知識や、自宅でとるべき対応に関して紹介しています。
目次
老犬は便秘が増える!?
老犬になって便通が悪くなるのは特段の病気がなくても起こりうる自然な現象といえます。問題は、加齢が原因のようにみえて病気が隠れていないかどうかという点です。代表的な原因を以下に紹介します。
加齢
冒頭でも述べたように、単純な老化現象としても便通の悪化は起こりえます。老化によって便秘気味になる主な仕組みとしては、
- 加齢による消化管の運動能力の衰え
- 飲水量の低下
- 運動量の低下
の3つが挙げられます。2、3に関しては、関節炎などを発症して、いわゆる節々が痛い状態の犬では特に起こりやすいので注意が必要です。水飲み場までの道が、愛犬にとって険しくないか。家の中での元気、散歩中での元気はどうかなどに気をつけてみてあげましょう。
脱水を起こすような病気
単純な老化現象ではなく、病気が原因となって引き起こされる便秘も加齢に伴って増えてきます。その中でも多いのが、脱水を起こす病気が背景にある便秘です。老齢になるにつれて発症する犬が増え、かつ脱水を起こす病気は主に以下のようなものがあがります。
- 腎機能の低下
- ホルモンの乱れ(クッシング症候群など)
- 糖尿病
いずれの場合でも、共通の症状として薄い尿を大量にするようになります。そのような症状が見られたら対応に注意が必要です。
肛門周囲の異常
脱水を引き起こす病気以外の病気によって引き起こされる便秘もあります。その中で多いのが、肛門周囲に異常をきたして排便機能が低下することによって起きる便秘です。主に以下の病気が考えられます。
- 会陰ヘルニア:腸に憩室ができる。特に去勢雄の老犬で注意。
- 肛門括約筋の機能異常:椎間板ヘルニアなどによる神経麻痺など。
これらによって起きる便秘は、「出したい様子なのに(便意はありそうなのに)便を出せない」という症状が顕著にでることが多いです。
とるべき対応丨まずは観察!
便秘は、始まってから3〜4日であれば緊急性があることは少ない症状です。まずは自宅内での様子をよく観察し、愛犬のからだの状況に関してなるべく多くの情報を集めることが大切です。具体的にどんなポイントを観察すればよいのか、以下に紹介します。
- 水を飲む量、あるいは尿の量が異常に増えていないか
- 便に異常はないか(乾燥、血液、粘液など)
- 排便時に異常に鳴く、いきむなどの行動はないか
- 肛門の周りがポコっと腫れていないか
- 元気食欲の低下など他の異常はないか
これらのポイントに注意を向けて情報を集めておくと、いざ動物病院を受診しなければいけなくなったときにも、獣医師に性格な情報を提供することができるでしょう。そうすればスムーズな診断・治療ができる可能性が大きく高まります。便秘ではなかった時の様子もよく思い出しながら観察してみてください。
とるべき対応丨観察したら…
前項で紹介した老犬を観察した後にとるべき対応を、「異常が認められたとき」と「異常が認められなかったとき」にわけてご紹介します。
異常が認められたとき
病気が隠れている可能性が高いと判断されるため、できるだけ早く動物病院に行って相談をすべきでしょう。特に、元気食欲に異常がある、あるいは嘔吐を伴うときは緊急性が高い場合もあります。かかりつけの動物病院ではなくとも、ひとまず駆け込むことができる動物病院の受診を検討してもいいかもしれません。
異常がなかったとき
少なくとも緊急性が高い状況である可能性は低そうです。少し自宅で様子をみることもできるかもしれません。自宅で経過観察をする際には以下の点に注意を払ってみてください。
- フードは年齢に合ったシニア用のものか
- おやつの量ばかり増えてきていないか(老犬は味の好みがうるさくなってくることが多い)
単純な老化現象による便秘に関しては、食事の管理が大切です。可溶性の食物繊維と飲水量を増やしてみると便通が改善することもあります。可溶性食物繊維を増やす方法としては、相応のフードに切り替えたり、サプリメントで補ってあげたりするのが取り組みやすいでしょう。
飲水量を増やすには、ウェットフードに切り替えたり、スープを毎日の食事に追加したりするといいかもしれません。ただし、ウェットフードはドライフードと比べて歯石がつきやすくなるため注意が必要です。
低下した消化管の運動機能をサポートするために、平地のお散歩を増やしてみるのもいいかもしれません。その際は決して無理をさせないよう、ゆっくりと愛犬のペースに合わせて歩いてあげてください。
まとめ
便秘は緊急性が低いことの多い症状ではありますが、油断は大敵です!重度になると腸管がのびきってしまって元に戻らなくなることも起こりえます。また便秘以外の症状を伴う場合には一層の注意が必要です。少しでも不安があるのであれば、動物病院へ相談しましょう。