【獣医師監修】猫がうつ病になることはあるの?原因や症状、改善方法について詳しく解説

猫 うつ病

「何となく元気がなく、食欲もない」「呼びかけても以前のような反応がなく、ぼーっとしている感じがする」このような状況が続くと、「もしかしたらうつ病?」と心配になってしまいます。
実は猫にもうつ病のような症状が起こることがあります。この記事では、うつ病の原因や症状、改善方法などについて解説します。

猫がうつ病になったときの症状

猫のうつ病が疑われるサインには明らかな行動の変化もあれば、見逃してしまいそうな微妙なサインもあります。うつ病の猫には次のような症状がみられます。

元気や食欲がない

猫がうつ病になったときには元気や食欲がなくなることがあります。
「全く食べないわけではないが、徐々に食べる量が減っている」「ずっと動かないわけではないが、うずくまっている時間が長い」
このような場合はからだの調子が悪いのか、気持ちの問題なのか判断が難しいです。早めに動物病院を受診して、診てもらうのがよいでしょう。

おもちゃに興味を示さなくなる

「今までは猫じゃらしや動くおもちゃに興味津々で飛びついてきたのに、最近はちらっと見るだけで動こうともしない」
このような場合は、本当に興味がないのかうつ病なのか悩みます。食欲不振などの他の症状も伴う場合は、体調が悪い可能性があります。

わけもなく鳴くことが多くなる

軽く「にゃーん」と鳴くのではなく、今まで聞いたことがないような雄たけびをあげることがあります。何かがいるわけではなく、何もない方を向いて鳴いているとさらに心配ですね。
猫がうつ病になると、このようにわけもなく大声で鳴くようになることがあります。

排泄を失敗することが増える

今まできちんとトイレで排泄できていたのに、急に失敗してしまうことがあります。トイレの近くや全く違う場所に排泄してしまうことが多くなった場合に、膀胱炎やそのほかの病気との区別が必要になります。
うつ病を疑う前に、同じような症状が起こる別の病気がないか確認しましょう。

猫がうつ病になる原因

猫 うつ病

猫がうつ病になる原因には環境変化が大きく関係するといわれています。どのようなことが考えられるのかみていきましょう。

家族構成の変化

猫と一緒に位している途中で、家族構成が変わることがあります。就職、進学、結婚、死別などが代表的でしょう。
私たちには事情がわかりますが、猫には理由がわかりません。「突然、大切な人がいなくなってしまった」反対に、「見知らぬ人が家族として加わった」と思いながらも理由がわからないから悩みますし、慣れることが困難な場合もあるでしょう。
そして、もやもやしたまま、うつ病になってしまう可能性もあります。

同居する動物の変化

長年一緒に暮らしていたペットが亡くなる、新しいペットを迎えたなどの変化は、ストレスになる可能性があります。
一緒に暮らしていた仲良しのペットがいなくなってしまうと、寂しさから探しまわることがあります。また、新しいペットを迎えると、飼い主をとられてしまったと錯覚することもあるでしょう。そのようなことが原因になりうつ病になってしまうことがあります。

引っ越し

猫は環境の変化に敏感です。家の間取りが異なるうえに、慣れないニオイのする環境になることから、体調不良を起こしてしまうことがあります。全く食べない、トイレの場所がわからず排泄をしないままの状態が続くことも。
精神的に不安定になると、気持ちが落ち込みうつ状態になることがあります。

体調変化

体調が悪く、食欲がなくなったり元気がなくなったりする姿は見ていてつらいですね。ただ、つらいのは猫も同じです。通院が重なるとストレスもたまりますし、体調の回復が思わしくなければ調子の悪さから気持ちが落ち込みます。その結果、うつ病になってしまうこともあります。

猫のうつ病を改善するには

猫 うつ病

猫のうつ病は猫が感じたさまざまな思いの表れでもあります。デリケートになっている猫が精神的に健康になるためにどのように接していけばよいのでしょうか。

一緒にいる時間を楽しむ

大好きな飼い主と一緒にいる時間が少ないと寂しさがつのりますね。
遠くから寂しそうに見ていませんか?そのようなときは、少しでも一緒にいるようにしてあげましょう。
週末にまとめて遊ぶというのは逆効果です。たくさん遊んだ次の日に、そっけない状態になってしまうと余計に寂しくなってしまいます。毎日少しの時間でも一緒に遊んで楽しみましょう。

少しだけ環境を変える

大幅な模様替えをすると人の場合は気分転換になります。しかし、猫の場合は知らない環境になってしまい、場合によってはストレスになってしまう可能性があります。猫が好みそうなベッド、キャットタワー、おもちゃ、風通しをよくする、日向ぼっこできるように日当たりをよくする、などほんの少しだけ変えることで、気分が変わるかもしれません。

食事内容を変えてみる

ずっと同じフードが続いている場合は、ウェットフードを少し加える、がらりと銘柄を変えることも気持ちの変化につながります。いつもと同じマンネリ化した状態だと、今日のご飯は何だろうといった楽しみがありません。食事に変化をつけて楽しみを作ってあげましょう。

リラクゼーション

マッサージを行うこともおすすめです。マッサージを行うと血液循環がよくなりますし、こわばった筋肉もほぐれます。
その結果、副交感神経の働きが活発になり、反対に交感神経の働きが穏やかになります。交感神経の働きが穏やかになると、ストレスの軽減につながりうつ病の改善につながるでしょう。

サプリメントを利用する

現代はストレス社会といいますが、それは猫も同様かもしれません。ストレス軽減のためのサプリメントやうつ病の治療薬もあります。詳しくは動物病院を受診して、獣医師に相談してください。よいアドバイスをもらえるでしょう。
気持ちの問題を専門に取り組む獣医師もいますが数が少ないのが現状です。もし通院可能な範囲であれば、受診してしっかり診てもらいましょう。

まとめ

猫のうつ病について解説しました。猫も毎日の暮らしの中でさまざまなストレスを抱えます。なかには飼い主にとっては何気ない変化と感じることも、猫にとっては一大事である可能性もあります。
猫が知らせようとしているサインに、できるだけ気づけるように見守っていきたいですね。

\公式LINE友だち募集中/
友だち追加
本部サイトへの遷移

WITHこの記事を監修した人

平松 育子

平松 育子

山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部)卒業 山口県内の複数の動物病院で代診を務めたのち、2006年有限会社ふくふく動物病院を開業。2023年ふくふく動物病院を事業譲渡したのち、大手動物病院で院長を務める。 ペット系記事のウエブライターを10年経験し、2023年にペットの記事を執筆・監修する会社「アイビー・ペットライティング」を立ち上げ代表を務める。

ABOUTこの記事をかいた人

ふぁみまる編集部

今まで犬を始め、フェレット・ハムスター・カメ・インコなどさまざまなペットを飼育してきました。現在は、ジャックラッセルテリアと雑種の2匹を可愛がっています。趣味は愛犬たちとの旅行です。 このメディアでは、多くの飼い主の方々の不安や疑問・困っていることを一緒に解決していきたいと考えています。