愛猫が痩せてきたら、「もしかして病気かも?」と飼い主さんは心配になってしまいますよね。猫が痩せるケースには、病気以外にもさまざまな原因があります。この記事では、猫が痩せる原因や対策、予防法について解説します。
目次
猫が痩せる病気以外の理由
ここでは、病気以外で猫が痩せる原因について解説していきます。
食事量が少ない
単純に、猫に与えているキャットフードの量が少ないことが考えられます。
特に子猫では、成長していくにつれ、徐々に食事量を増やしていかなければなりません。
また、成猫であっても、食事量が少なくて必要な栄養素やカロリーが摂取できていない場合には、痩せてしまうことがあります。
キャットフードが合わない
子猫や成猫、シニア猫はそれぞれ必要な栄養素が異なります。
また、年齢によって消化吸収能力も変わってくるため、キャットフードが猫のからだや年齢に合っていない場合に、消化不良や栄養失調となり痩せていくことがあります。
運動量の増加
猫の運動量に対して、食事量が見合っていなければ、痩せてしまいます。
特に、生後半年から1年くらいの活発な若い猫や、筋肉量が多い猫は1日に必要なカロリーも多くなるため、食事量が見合っていなければ自然と痩せてしまいます。
発情期
猫は発情期を迎えると、発情のためにエネルギーを消費し、同時に食欲も落ちて痩せてしまうことがあります。
特に、雄猫ではその傾向が高く、未去勢の雄猫が一定の時期にだけ痩せる場合には、発情期が原因と考えられるのです。
からだのどこかに痛みがある
からだに痛みがあると、起き上がることがつらかったり、床に置いてある食器へ下を向くという食事の体勢をとることがつらかったりします。痛みへのストレスから食事をとらなくなってしまい、徐々に痩せていくことがあります。
ストレスによる食欲不振
猫は環境の変化などに敏感です。環境が変わってストレスを抱えると、しばらくご飯を食べなくなり、痩せてしまいます。
さらに、ストレスが胃腸に悪影響を及ぼすと、嘔吐や下痢などの症状が現れ、さらに痩せてしまうこともあるでしょう。
加齢による生理的な変化
年齢が高くなると、嗅覚の衰えや味覚の変化から食事への興味が薄れ、徐々に食が細くなっていきます。
また、歳をとると活動力が落ちていくのに伴い、筋肉量が低下し、体内の水分量も徐々に減少しすることから、徐々に痩せていくのです。
猫が痩せる原因として考えられる病気
次に、猫が痩せる原因として考えられる病院を、食欲があるのに痩せる場合と、食欲がなくなって痩せる場合に分けて解説していきます。
食欲があるのに痩せる場合
・甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンは、甲状腺から分泌され、細胞の代謝率を上昇させる働きをもっています。
そのため、甲状腺機能亢進症の猫はからだの基礎代謝が上昇してしまうことで、普通かそれ以上食べるにも関わらず痩せたり、活発になったり、嘔吐や下痢などの症状がみられます。
・糖尿病
猫も人間同様に、糖尿病を発症することがあります。糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの不足、あるいはインスリンはきちんと分泌されているがからだがうまく反応せず、血糖値が上がってしまう病気です。
糖尿病になった猫は、食欲はあるのに体重がどんどん減るという傾向があるのです。
・肥満
肥満傾向の猫が何らかの原因で食事をとらなくなってしまうと、急激に痩せ、肝臓に脂肪が集まる肝リピドーシスという病気になります。進行すると食欲不振だけでなく、神経症状や黄疸など重篤な症状を引き起こすため、早めに受診するようにしましょう。
・悪性腫瘍
悪性腫瘍、つまり癌も猫が痩せる原因となる病気の1つと考えられます。腫瘍ができた部位や進行状況、転移の有無などで症状は異なりますが、よくみられる症状として「痩せる」があります。
・消化管内寄生虫
消化管内に寄生するさまざまな寄生虫は少数だとあまり症状は出しませんが、特に子猫のようにからだが小さかったり、多数寄生されると栄養をとられてしまったり、下痢をしやすくなり痩せてしまうことがあります。
食欲も元気もなくて痩せる場合
・口内炎などの口腔内疾患
猫が食事をするのに躊躇している場合や、食べづらそうに食べている場合は、口内炎や歯周病により、口の中に痛みを感じている可能性があります。
食事の際に口の中に痛みを感じると、食欲があったとしても、積極的に食事をしようとはしなくなります。
・高齢の場合は慢性腎臓病
高齢猫が痩せる場合に考えられる病気は、慢性腎臓病です。慢性腎臓病のサインとなる症状の1つに「痩せてくる」があります。
腎不全では、尿の濃縮機能がバランスを崩し、薄い色の尿をたくさんするようになり、水をたくさん飲むよう(多飲多尿)になります。そして、病状が進行すると元気や食欲が低下、嘔吐がみられるようになり、体重も徐々に落ちてしまいます。
年齢の高い猫が頻繁にトイレにいくようになった場合は注意が必要です。
・誤飲などによる消化器疾患
毛玉や異物などを誤って飲み込むと消化管のどこかで詰まってしまい、腸閉塞を起こす場合があります。
腸閉塞による通過障害が起こると、消化管の動きがストップしてしまい、食欲不振の他に頻回の嘔吐などの症状もみられ、最悪の場合には死に至るケースもあるのです。
・膵炎
膵臓に炎症が起きると、膵臓の酵素が漏れ出て、膵臓そのものや周囲の臓器に障害を与えます。症状としては、激しい炎症のため、痛みが起き食欲不振や嘔吐がみられ、適切な処置をしないと命を落とすこともあります。
猫が痩せてきた場合の対処法
ここでは、病気が原因ではなく、猫が痩せてきた場合に飼い主ができる対策について紹介します。
キャットフードや食事量を見直す
キャットフードの量が少なかったり、からだに必要な栄養素やカロリーの摂取が不十分だと痩せてしまいます。
成長や加齢に伴って、からだの求める栄養バランスやカロリー量、消化吸収能力も変化するため、年齢や体重に合わせてフードをシニア用に切り替えて適正量を与えるようにしましょう。
発情などが原因の場合は様子を見る
未去勢や未避妊の猫が発情の一定の時期にだけ痩せる場合には、発情期が原因と考えられるため、しばらく様子を見ても良いでしょう。発情期が原因の場合、しばらくすると食欲が戻り、体重も自然と増えていくはずです。
生活環境を整える
生活環境を変えてすぐに猫の食欲がなくなり体重が落ちた場合には、ストレスの原因となっている事象を取り除き、猫の負担を軽減してあげましょう。
もし、新しいペットが増えたなど、取り除けない事象の場合には、対策を動物病院の獣医師に相談してみてください。
動物病院を早めに受診する
しっかりと食事をとっているにも関わらず体重減少がある場合や、嘔吐や下痢など他の症状がみられる場合には、動物病院へ連れて行きましょう。特に、徐々に痩せていくのではなく、急激に痩せていくときには、早急の治療が必要な可能性が高いです。猫が痩せるのには必ず原因があるため、自分で判断せずに、一度獣医師に診せることをおすすめします。
猫が痩せないために飼い主ができる予防方法
最後に、猫が痩せないために飼い主ができる予防方法について紹介します。
愛猫の体重の変化に注意する
どのくらい痩せているかを判断する場合、見た目はもちろん、日頃から体重を測って数値をチェックすることも大切です。飼い主が猫を抱っこした状態で体重を測定し、飼い主の体重を数値から差し引けば猫の体重を測れます。定期的に測定して、記録をつけておくようにしましょう。
日頃の様子をきちんと観察する
日頃から愛猫の様子をきちんと観察し、体調チェックを欠かさずに行うことが大切です。
体調チェックは元気や食欲があるか、尿や便の状態はどうか、嘔吐などの症状やからだにデキモノがないかを確認しましょう。
動物病院で定期的な健康診断を受ける
上でお伝えしたように、猫が痩せる原因にはさまざまな病院があります。年に一回は動物病院の健康診断を受けて、これらの病気の早期発見・早期治療に努め、愛猫が痩せすぎてしまわないように気を付けましょう。
まとめ
愛猫が痩せるには必ず原因があります。体重だけでなく、食事量や排泄物、口の様子などを日頃からチェックをして、痩せた原因を探してみましょう。
もし、原因がわからない場合には、病気が潜んでいる可能性があるため、動物病院を受診するようにしましょう。