若い頃はあまり甘えてくることもなく、撫でられたり抱っこされたりも好きでなかった愛猫。年齢を重ねてからなんだか甘えてくるようになって嬉しいやら、何か病気じゃないかと不安やら。そんな複雑な気持ちを抱えている飼い主は多いのではないでしょうか。
実は、年齢を重ねるにつれて甘えん坊になる猫は意外と多いもの。この記事では、老猫が甘えてくる原因とその対処法についてご紹介します。
目次
猫が年齢を重ねると甘えん坊になりやすいのはなぜ?
老猫の行動の変化には、大きくわけて2つの場合が考えられます。「本当に甘えん坊になっている場合」と、「何かを要求している場合」です。
本当に甘えん坊になっている場合
猫も人間同様に年齢を重ねると、なにか病気を抱えているわけではなくても不安や寂しさを感じやすくなるといわれています。加齢に伴う心理構造の変化や、自身の体力の衰えがその背景にあるのではと推測されています。
一方で、病気が隠れている可能性もゼロではありません。年齢を重ねると病気にもなりがち。代表的なものは慢性関節炎です。高齢猫の約9割が発症するともいわれており、いわゆる節々が痛い状態です。関節炎があるために体が思うように動かなかったり、痛みがあったりすることで不安を感じやすくなる猫もいます。関節をケアするサプリメントや、痛みが重度であれば動物病院でもらえる鎮痛薬の投与を検討してもいいかもしれません。(注:ヒト用の鎮痛薬は中毒を起こす場合があるので絶対に与えてはいけません)
何かを要求している場合
年齢を重ねると頑固で融通がきかなくなってくる猫も多く、飼い主に要求を通そうとしてヒトからみると甘えているような行動をとることがあります。このときにとる行動は猫が飼い主と長年連れ添う間に「この行動をとると飼い主は要求を通してくれる」という学習をして得た行動であることが多いでしょう。
ご飯を欲しいときやトイレを変えてほしいときなど、明らかに何かしてほしいタイミングで甘えてくることが多いようであれば、それは要求をしているのかもしれません。ただし、ご飯を食べ終わってもまたすぐに催促するなど、あまりにも要求の度合いが激しい場合には認知症の可能性もあります。よく観察してあげましょう。
猫が甘える際にとる行動
それでは、老猫が甘えるときはどのような行動を取るのでしょうか。
鳴く
甘えたり要求したりしているときは、飼い主をじっと見つめてなにかを訴えるようにして鳴く場合が多いです。一方で、どこともなく宙を見つめて異常な鳴き方をする場合は、なにか不安をあおるような音が聴こえているなど、飼い主に向けた甘え、訴えではない可能性が高いです。あまりにも頻繁であれば認知症の可能性もありますので注意しましょう。
噛む
暇だったり、何かを要求したりするときに甘噛みをする猫もいます。小さい頃にヒトの指をおもちゃがわりにして遊ばせていた猫は、比較的この行動をとる割合が多いようです。また、それまでの生活の中で噛むという行動に対して飼い主が猫の望む行動で返していた場合には、特に起こりやすいともいえます。
舐める
リラックスして甘えたいときに飼い主の手や顔を舐める猫は多くいます。親密な猫同士の場合、お互いのからだを舐め、グルーミングしあうことで親愛の情を伝えているといわれています。飼い主にも愛情表現として同じ行動をとっているので、これは学習の結果ではなく、猫本来の行動の1つといえます。
甘える原因は?
最後に、老犬が甘えてくる原因について解説します。
甘えている
ただ単純に甘えたいだけのケースも多くあります。からだ全体が脱力して、表情もやわらかく、リラックスしている様子が観察できることが多いでしょう。目を閉じて気持ちよそうな表情をしているかもしれません。
不安を感じている
不安を紛らわせようと、リラックスしているときと同じ行動をあえてとることもあります。人間が不安や緊張を感じているときにノビをしたり、深呼吸をしたりしてそれを紛らわせようとすることがあるのと同じです。どことなくキョロキョロしていたり、からだが緊張していたりという様子が観察された場合には注意しましょう。
何かを要求している
冒頭でも少し触れましたが、食事の時間やトイレを掃除してほしいときなど、何かの要求を通そうとしているときに甘えているのと区別がつきづらい行動をとることがあります。このときは目を閉じることはあまりなく、むしろヒトの様子をうかがうようにジッと見つめることが多いでしょう。
猫が甘えてくるタイミングに特定のパターンがあれば、それは要求の可能性が高いです。ただし長時間にわたる無駄鳴き、昼夜逆転、度を超えた食事の催促などがあれば認知症の可能性もあるので注意しましょう。
とるべき対処法は?
対処法は原因によって違ってきます。まずは猫の様子をよく観察してみましょう。対処法を考えるには、原因を探るところから始めなければいけません。
甘えている場合
単純に甘えているだけの場合には、特別の対処の必要はないでしょう。もし余裕があれば、ブラッシングをしてあげるなど猫とコミュニケーションをとる時間を増やしてあげると、より満足度の高い生活を送ってくれるかもしれません、
不安を感じている場合
環境の変化をなるべく少なくする(食事の種類、トイレの種類、家具の配置など)ことで、不安の軽減に役立つかもしれません。また慢性関節炎による痛みが生じているなど、何らかの健康上の問題がある可能性も考えられるので、動物病院で検診を受けることを検討しましょう。
何かを要求している
普段の様子をよく観察して、要求を叶えてあげることが対処となります。ただし、噛む行動で何か要求をする癖がある猫の場合は、その要求に応えているとその行動がどんどんエスカレートしていく恐れがあります。攻撃的な行動に対しては思い切って無視してしまうのも1つです。
認知症
猫の行動を変えようとせず、人間側が対応を変えることで対処していくことが原則です。しかし昼夜逆転、止まない夜鳴きなど、人間側が対応することが難しいケースでは動物病院で鎮静薬などを処方してもらうのも選択肢の1つです。
まとめ
年齢を重ねるにつれて甘えん坊になる猫は多くいます。その行動の背景が単純に甘えているだけであれば、それは加齢に伴う変化としてごく自然なものです。ただしオモテに現れる行動は甘えているように見えても、実は何かを要求していたり、不安の裏返しだったり、認知症だったりと思わぬ背景が隠れていることもあります。まずはよくよく観察してあげることが大切といえるでしょう。