愛犬が若い頃は元気にはしゃいでいたけど、年を重ねてきた最近はご飯も食べないで寝てばかり……。ただの年のせいだと思いたいけど、病気が隠れていないか不安になってしまっている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、そんな悩みを持つ飼い主さんに向けてとくに注意したい観察ポイントや、動物病院での検査、とるべき行動について解説します。
目次
老犬がご飯食べずに寝てばかりいるのは老いなの?それとも、病気なの?
犬の1日の平均睡眠時間は、個体差はありますが、およそ12~15時間といわれています。
しかし、年齢を重ねると筋肉が衰えるとともに運動量が減り、寝ている時間が増えるのは自然な変化で、18~19時間ほど寝ることもあるのです。ただ、その裏に病気が隠れていることも多くあるため、以下のような様子が見られた場合には、動物病院を受診し獣医師に相談しましょう。
食欲不振・体重減少があるとき
普段食欲旺盛だった愛犬が、突然あまりご飯を食べなくなったり、体重が減ったりしているときには要注意です。老犬の死亡原因のトップ3である腫瘍、心臓病、腎臓病に代表されるように、症状の1つに食欲不振が含まれる病気は多数あります。年をとることにより味覚や嗅覚が衰えることで、食が細くなりますが、老化と見過ごさず動物病院を受診することがおすすめです。
足や腰を痛そうにしているとき
年齢を重ねてくると人間同様に関節炎などにかかる犬が増えてきます。
また膝蓋骨脱臼など、若い頃はうまく付き合える病気でも、加齢によって症状が悪化する病気もあります。ソファやベッドに飛び乗れなくなった、階段を嫌がる、散歩を嫌がる、寝方がいつもと違う場合などは、痛みがあることが疑えるため注意が必要です。
このような場合は、からだを動かすことにより痛みが伴うため、痛みを避けようと横になる時間が増え、飼い主はいつもより寝る時間が長くなったと感じます。
皮膚症状(脱毛)があるとき
加齢に伴いホルモンの不調による病気も増えてきます。甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症のようにホルモン分泌の異常によって起こる病気の中には、脱毛などの皮膚症状を起こすものが多くあります。また特定の病気ではなくても、皮膚や毛の状態は、健康状態のわかりやすいバロメーターです。それが悪化しているということは、何らかの異常がある可能性が高いので注意しましょう。
生活リズムが乱れているとき
認知症で夜鳴きや夜間の徘徊などの症状が見られる場合にも、生活リズムが昼夜逆転になり日中に寝ている時間が増えます。
犬の認知症は早いケースでは7~8 歳頃から、多くは11~15歳頃から認知症の症状が出るといわれているため、夜鳴きや夜間の徘徊など気になる症状が見られる場合には獣医師に相談してみましょう。
心配な時は獣医師に相談しよう!動物病院ではどんな検査をするの?
そうはいっても、自宅での観察だけで病気の有無を判断するのは困難かつ危険です。家族だけで判断しようとすると、糖尿病のように若い頃よりむしろ食欲が増すような病気は見逃され、末期になってやっと気づくようなケースもでてきます。愛犬の様子になにか違和感をおぼえたときは、まず獣医師に相談するのが最も安心でしょう。
ここでは老犬の活動性が落ちているとき、動物病院ではどのような検査をするのでしょうか。一般的なものをご紹介します。
問診・身体検査
「検査」というと血液検査やレントゲン検査を連想する方も多くいらっしゃると思いますが、獣医師が最も重視しているのが問診と身体検査です。この2つによって、病気の可能性が高いかどうか、行うべき検査の方向性などを判断します。
問診・身体検査だけであれば費用は再診代のみの病院も多いため、「高額の検査費が……」といった心配もないでしょう。まずは相談だけでもいいので、動物病院に連れて行ってみましょう。
血液検査
問診や身体検査で獣医師が何かしらひっかかる部分があれば、最初に行われることが多いのが血液検査です。主に血液や内臓系の病気や、全身の状態を把握するために行われます。費用は調べる項目やその数によって異なります。血液検査の実施を提案されたときには、まずはどこまで調べてみるかをよく獣医師と相談してみましょう。
画像検査
一般の病院で行われることが多い画像検査はレントゲン検査と超音波検査です。レントゲン検査は胸部や腹部の臓器、全身の骨や関節などの大まかな異常を確認するのに適しています。一方、超音波検査は心臓や臓器の詳細な情報を得るのに適しています。費用は病院ごとに異なりますが、一般的にはレントゲン写真2枚で5000~7000円、超音波検査1部位で3000~5000円程度の病院が多いでしょう。
病気ではなさそうなとき、飼い主がとるべき行動は?
動物病院に相談した上で、病気である可能性は低いと判断されたときにはどのようなことに注意して過ごしていけばよいのでしょう。ここではその点について詳しくご紹介します。
体重が増えないよう注意!
加齢とともに運動量も低下し筋肉が衰えることで、いわゆる基礎代謝が低下し太りやすい体質に変わっていきます。そのため、老犬の健康維持には肥満の防止が大きな課題としてあげられます。
肥満は心臓病や関節炎などさまざまな病気のリスクを高めます。1日の摂取カロリーを見直したり、適度な運動をしたりするなど、理想体重の維持に努めましょう。
食欲低下によるエネルギー不足を防ぐ
歳をとるにつれて食が細くなったり、寝てばかりで最低限の食事もとらなかったりすると、エネルギー不足になってしまいます。
必要なエネルギーや栄養素を摂取するため、シニア用のフードに変更したり、温めてニオイを強め食欲を促したり、お湯でふやかして食べやすくしたり、工夫してみましょう。
筋肉のコリや関節のこわばりを防ぐ
寝てばかりいると、筋肉のコリや関節のこわばりから痛みを感じることが多くあります。
ですので、筋肉をほぐすために温かいタオルを使ってマッサージをしたり、血行促進や関節のこわばりを防ぐためにストレッチをしたり、適切なケアをするようにしましょう。
生活環境や寝床を見直す
寝ている時間が増えた老犬の睡眠の質を高めることは、健康にも繋がります。
年を重ねると、体温調節機能が衰えてくるため、老犬が快適に過ごせる室温に保ちましょう。
また、寝床で寝る時間が長くと、寝床の快適さも睡眠の質に直結します。愛犬に大きさが合っており、柔らかくクッション性があり、洗濯ができて清潔に保つことができる心地いいベッドを選んであげましょう。
さらに、寝たきりの老犬では床ずれ予防のため、床ずれ防止マットやクッションを利用したり、2~3時間おきに寝がえりのサポートが必要です。
関連記事:老犬の床ずれを予防しよう!マットの選び方とおすすめ3選
筋肉を落とさないよう注意
人間と同様、犬も高齢期に入ってからは、一度落ちた筋肉を取り戻すのが難しくなってきます。筋肉が落ちると、運動を嫌がるようになり、さらに筋肉が落ちていくという悪循環に陥ってしまいます。短時間でも散歩を欠かさないようにする、散歩コースに坂道をとりいれる、ボール遊びをとりいれるなど愛犬に無理のない範囲で運動量の確保に努めてあげましょう。
定期的な健康診断を受ける
一度、病院で病気の可能性は低いと判断されたからといって油断は禁物です。犬の1年は人間の4年といわれるように、犬と人間の時間の流れは大きく異なります。気づかないうちに病気が進行してしまう可能性も高いので、老犬は半年ごとの健康診断が推奨されているのです。健康診断キャンペーンを開催している病院も多くありますので、そういったものをうまく利用して、病気の早期発見・治療ができるよう努めましょう。
まとめ:心配なときは相談しよう!
愛犬の寝ている時間が増え、老いか病気か悩むようであれば、まずは動物病院に相談するのが最善の策です。その際には、問診から得られる情報が診断には非常に大切になるため、愛犬の家での様子や、違和感を覚えている点などを詳しく話せるようにしておきましょう。
中でも、食欲や体重の変化は重要な点ですので、しっかり伝えられると良いですね。動物病院で病気の可能性は低いと判断されても、定期的な健康診断は怠らず!愛犬の不調の早期発見・治療に努めてあげましょう。