犬は人間のように言葉を発することはできないため、もし体調が良くなかったとしても、言葉で私たちに伝えてくれることはありません。そんな犬たちの排泄の調子は、私たちが犬の体調を推測するうえでとても大切な情報源です。この記事では、犬が24時間以上排泄をしていないときの原因と対策についてまとめています。
目次
犬は1日に何回排泄するの?
排泄とは、排尿と排便をひとくくりにした言葉です。 そもそも、犬は1日に何回排泄するのが正常なのか。それは排尿と排便で少し違います。
排尿は日に3〜4回 するのが平均的です。一般的に12時間以上、排尿していなければ注意が必要です。無理やり排尿を我慢しているか、脱水している可能性があります。さらに、24時間以上排尿しないのは明らかに病的であり、かつ緊急性があります。場合によっては命に関わることもありますので、すぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。
その一方で、排便は日に1〜2回が平均的です。24時間以上排便していないときは、やはり注意が必要ではあるものの、排尿の場合ほどの緊急性はないことが多いです。48時間以上、排便がないときは便秘の可能性がありますので動物病院を受診した方が無難です。なお、一般的に子犬は成犬より排泄間隔は短い傾向にあります。
トイレを我慢させるのは病気につながるリスクあり!
旅行や留守番などで、排泄を長時間我慢させざるをえない場合もあるかとは思います。それでも、長時間にわたって排泄をさせないのは犬に精神的ストレスを与えるだけではなく、病気につながることもあります。代表的なものを見ていきましょう。
尿石症
尿路結石ともいいます。排尿を我慢させるということは、膀胱内に尿がたまっている時間が長くなるということです。尿はそれだけ濃くなり、そこに含まれている結石の元となる成分の濃度が濃くなります。
その結果、それらの成分が結晶化しやすくなり、尿路結石へと発展しやすくなります。尿路結石にまで発展せず、結晶の段階で止まるとしても、結晶が原因で膀胱炎となることもあります。
便秘
排便を我慢させれば、便秘につながることもあります。たかが便秘、されど便秘です。排便を我慢させればさせるほど、宿便が硬くなり、腸管の動きも悪くなります。最後には、自力で排便する能力が低下して、一生の便秘体質となってしまうことさえあります。
旅行に行くのであればトイレ休憩をこまめにとる。留守番の時間が長いのであれば室内で排泄できる環境を整えたり、ペットシッターを雇ったりする。なるべく排泄を我慢させない工夫ができるとよいですね。
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犬がトイレを我慢してしまう主な原因
「とはいっても、なぜか愛犬がトイレを我慢してしまう!」というときは、何らかの原因が隠れているのかもしれません。以下の2つのケースが多いです。
しつけや生活習慣
トイレでしか排泄しないようにしつけられた犬は、トイレに行きづらい状況にあると排泄を我慢してしまいがちです。トイレに行きづらい状況とは、たとえば体のどこかが痛い、トイレまで遠い、同居犬との関係性が悪い、といったことです。特にしつけたわけではなくとも、幼少期からの生活習慣で屋外でしか排泄したがらない犬もいます。そういった犬は、屋外に行けないと我慢してしまうことでしょう。
性格
性格が影響しているケースもあります。たとえば綺麗好きで、汚れているトイレでは排泄したがらないという犬もいます。こういった犬の場合には、トイレの清掃がこまめでないと我慢してしまうことでしょう。
どちらのケースだとしても、飼い主が普段の生活をよく観察していないと気づくことは難しいです。常日頃から愛犬の様子をよく観察してあげられるとよいですね。
トイレを我慢してしまうときの対処法
愛犬がなぜかトイレを我慢してしまいがちなときの対処法は、原因によってさまざまです。原因に関わらず共通で適用できる対処法というのは存在せず、あくまで原因に応じた対処をとっていくことが必要です。
まずはよく観察して、なぜトイレを我慢してしまうのかを探ることが適切な対処をとる秘訣といえるでしょう。たとえば、老犬で体のふしぶしが痛い様子があるなら、犬が普段よくいる場所の近くにトイレを設置したり、大きくまたがなくてすむトイレを設置したりしてみましょう。
また、綺麗なトイレが好きなのであれば、複数トイレを設置したり、自動で掃除してくれるトイレを導入したりしてみましょう。
原因がわかれば、対策はおのずと明らかになります。まずは注意深く観察をしてあげることが大切です。
まとめ
排泄を我慢させることは、犬に精神的ストレスを与えるだけではなく、犬の健康を害するリスクもあります。そのため、なるべく排泄は我慢させないようにしましょう。どうしても我慢してしまうときは、まずはなぜ我慢してしまうのかよく観察することが大切です。また単なる我慢ではなく、病的な可能性(排尿:24時間以上出ていない、排便:2日以上出ていない)があるときは、なるべく早く動物病院を受診できるとよいですね。