猫はもともと自分の舌で丹念に毛づくろいをする、きれい好きな動物です。
しかし高齢になると体が固くなったり、関節が痛んだりするため、自分でうまく手入れができなくなることがあります。そのため、被毛や皮膚に汚れがついたままになりがちです。
特に長毛種は排泄物などで汚れやすいこともあり、シャンプーで清潔を保ってあげたいもの。今回は、老猫の体に負担をかけないシャンプーについて解説します。
目次
老猫のシャンプーが必要なとき
老猫にシャンプーが必要なときは次のような場合です。
毛づくろいの時間が減り、汚れが目立つ
老猫になると、体が固くなり舌がすみずみまで届かなくなります。
また、寝たきりになると、自分で毛づくろいができません。汚れをそのままにしておくと、皮膚トラブルの元になってしまいます。
排泄物が被毛や皮膚についてしまったとき
足の力が弱ってきている老猫は、排泄を失敗することがあります。排泄のあと、トイレでよろめいて体が汚れることも。
さらに、腎臓疾患などで尿の量が増えたり、膀胱炎で頻尿になったりすることで、被毛や皮膚が汚れやすくなります。
長毛種の老猫が汚れ、毛玉ができかけたとき
長毛種の老猫の場合は、毛づくろいが減ることで特に毛玉ができやすいので注意が必要です。
毛玉だらけになると、通気性も悪くなり皮膚トラブルのもとになります。毛玉ができてしまう前に、ていねいにブラッシングしてシャンプーする必要があります。
老猫のシャンプーの注意点
年を取ってからのシャンプーには注意点があります。大切なことは老猫の体に負担をかけないこと、無理をしないことです。
持病のある老猫は、事前に動物病院を受診する
とくに心臓疾患や腎臓疾患のある老猫は、シャンプーで病状が悪化する可能性もあります。病気治療直後の老猫も含めて、必ず動物病院に相談してからにしましょう。
体調のよいときにシャンプーをする
元気がない、下痢をしている、嘔吐しているなど老猫の体調が悪いときはシャンプーしないでください。動物病院を受診しましょう。
シャンプーは猫用を使う
人間用のシャンプーは香りが強く、刺激も強すぎるため必ず猫専用のものを使いましょう。
洗いすぎに注意!
排泄物で汚れたからといって、そのたびにシャンプーすると皮脂が落ちすぎてしまい、皮膚トラブルの元になります。元気な猫でも月に1度程度なので、老猫はもっと少なくてもいいでしょう。
排泄物で汚れる頻度が高い、下痢をしやすい、尿がちゃんと出せない、トイレで転びやすいなどの際は、原因となる病気がないか受診してください。
部分洗いやドライシャンプーも利用
老猫の負担を減らすため、汚れたお尻だけを洗うなども有効です。冬はドライシャンプーにするのもいいでしょう。
老猫をシャンプーしてくれる施設を利用
飼い主が家でシャンプーするのは大変という場合は、高齢ペットをシャンプーしてくれる施設に頼むのもいいでしょう。とくに動物病院と併設している施設は安心です。
嫌がっても猫を怒らないこと
ほとんどの猫は、水に濡れるのが苦手なので嫌がって暴れるかもしれません。そのときに猫を怒鳴ったり叱ったりすると、猫には大きなストレスとなります。嫌がったときは無理をしないようにしてください。
老猫のシャンプーの方法やコツ
老猫に負担をかけないよう、工夫してシャンプーしましょう。
事前の準備をしっかり
洗っている最中にあれこれ用意するのは大変。シャンプー前に、ブラシやタオルなどを準備しておきましょう。敏感な猫だと、「これは何かある」と勘づかれてしまうかもしれません。
とくにシャンプーにいやな思い出がある猫は、押し入れなどに隠れてしまう可能性もあります。あまりバタバタせず、淡々と用意するのもコツです。
タオルは2、3枚用意しておく
タオルは水をよく吸うタイプを何枚か用意しておくと便利です。
ドライヤーの工夫
猫を持ちながらドライヤーをするのは大変です。2人で行う方が楽ですが、1人で行う場合は、ドライヤーを固定すると便利です。固定するグッズも売られていますが一番簡単なのは、胸元に固定すること。エプロンの胸元に差し込むのが便利です。
事前にブラッシングしてほつれを取る
長毛種は濡れてしまうと、毛玉をほどくのが困難になりるので、事前にていねいにブラッシングしておきましょう。その際毛玉をひっぱらないように気を付けてください。
お湯は35~37度程度
ちょっとぬるいかな?と思うくらいがちょうどよい温度です。
お湯をかけるのは少しずつ
いきなり頭にお湯をかけず、背中からそっとかけましょう。顏周辺が濡れるのを嫌がるので、頭は最後です。シャワーの音を怖がる猫が多いので、洗面器でお湯を少しずつかけるのもおすすめです。それでもダメな場合はお湯を含ませたスポンジで濡らしてみてください。
泡を立ててから洗う
猫の体で泡立てるのではなく、お湯にシャンプーを溶いて、あらかじめ立てておいた泡で洗いましょう。
顏は濡らしたガーゼなどでそっと拭き取る程度で大丈夫です。顎の下などは意外と汚れているので、しっかりチェックしてください。
ていねいにすすいでシャンプー剤を残さない
シャンプー剤が落としきれないと、皮膚疾患の原因になってしまうこともあります。被毛はもちろん、皮膚についた泡もていねいにすすぎましょう。
丹念にタオルで水分を拭く
タオルドライを入念にすると、ドライヤーも短時間ですみます。
水分が残っていると、蒸れてかえって臭くなったり皮膚が荒れたりするので、よく乾かすようにしましょう。
まとめ:老猫のシャンプーは手際よく
毛づくろいが減り、被毛や皮膚に汚れが溜まりやすくなる老猫は、ときどきシャンプーして清潔にしてあげましょう。
老猫のシャンプーは、負担をかけないこと、無理をしないことが大切です。そのためにも手際よく済ませるようにしっかり準備をしてください。
持病のある老猫、病後の老猫については、事前に動物病院を受診して相談することをおすすめします。