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うちの子は高齢だけど手術・麻酔はできる?
手術の危険性のほとんどは麻酔に関するものです。とくに高齢になれば、検査では発見されないような異常があったり、手術中に予想外の事態が起こることもあります。そのため、「シニアの子の手術はリスクが高い」と良く言われていますが、それは全体における確率の問題であり、大丈夫な子は全く問題ない場合もあります。
手術・麻酔のリスクには年齢的な要因も少なからずありますが、それ以上に『健康状態』が重要になります。
麻酔薬は、呼吸と肝臓で代謝されて腎臓で排泄されています。
そのため心臓、肺、肝臓、腎臓の機能に問題があると麻酔のリスクが高まります。
シニアの子でもこれらの機能がしっかりと働いている場合には『シニアだから麻酔はできない』とはなりません。
麻酔前の検査による健康状態の数値が重要です。
主な具体的な麻酔のリスク
循環障害
呼吸障害
肝機能障害
腎機能障害
神経症状
ショック症状
精神症状
心停止
麻酔薬に対するアレルギー
誤嚥性肺炎
膵炎
麻酔のリスクが高くなる例
・心臓に問題がある場合、心臓のポンプ機能が停止しており、血液の循環不全を起こしやすいため
・肝臓に問題がある場合、麻酔薬の代謝機能が低下して麻酔効果が予測できなくなるため
・腎臓に問題がある場合、麻酔薬の排泄機能が低下して麻酔薬の作用・調節に影響を及ぼすため
・神経に問題がある場合、特に脳圧が高くなる病気の場合に、脳への血流が行き渡らなくなるため
・短頭種の場合、特徴的な顔のつくり(外鼻腔狭窄、軟口蓋過長、気管低形成など)により呼吸障害を起こしやすいため
・肥満動物の場合、胸まわりの厚い脂肪で胸が膨らみにくく、換気が悪くなりやすいため
・幼い子の場合(3ヶ月齢未満)は麻酔に関係する様々な臓器の機能が未発達であるため
・高齢動物の場合、全身臓器の予備機能(急な変化に対応する力)が低下するため
特に気をつけたいペットの特徴
短頭種
パグやブルドッグ、ペルシャやエキゾチックショートヘアなどの短頭種に分類される子たちは鼻孔が小さいため、全身麻酔をした際に自発呼吸が難しくなり、呼吸困難に陥りやすくなります。
小型犬
他にも小型犬やシニアの子への全身麻酔の使用も注意が必要です。小型犬は元々呼吸器官が未発達な犬種も多く、使用のできる麻酔の量や薬も限定されてしまいます。
シニアの子
シニアの子の場合は、体力の衰え以外にも呼吸器官の低下も見られます。
若い子に比べ、シニアの子の方が全身麻酔によるリスクは高まります。
心臓や呼吸器系に持病を抱えている子
肥満などで心臓や呼吸器系に持病を抱えている子も大変リスクが高くなっております。
この場合も小型犬や、シニアの子と同じく使用のできる麻酔の量や薬も限定されてしまいます。
手術が決まったら
それでも手術が避けられない場合もあります。
ペットが急遽、全身麻酔で手術が必要になってしまった場合には信頼出来る動物病院を見つけておく事が重要です。
予防接種、検査等で長くペットを診てもらっている獣医さんになら全身麻酔での手術を一任できるのではないでしょうか?
また、ペットの医療行為は自由診療のため、病院によって治療費が異なります。
よって、かかりつけ医を見つけ、信頼関係を築く事によって、ペットの全身麻酔の手術にかかる費用について相談しやすくもなります。
まとめ
ペットの全身麻酔は多くのデメリットもありますが、薬剤の知識や経験の豊富な獣医に一任すればリスクも少なく手術を行うことができます。
しかし、獣医に一任するだけでなく、飼い主も全身麻酔のリスク、デメリットや薬の効果などについて事前に把握しておくことが大切です。