この記事では、愛犬や愛猫が亡くなってしまったことでペットロスとなってしまった方や、その周囲の人に向けて、ペットロスと向き合う方法をまとめています。
目次
ペットロスとは?
ペットロスとは、一般的にはペットを亡くしたことをきっかけに生じてくる心身の不調を指します(「ロス(loss)」は「喪失」という意味を持つ英語の名詞です)。この状態は、正式にはペットロス症候群と呼ばれます。ここでいう「ペット」とは犬や猫だけを指しているわけではなく、犬猫以外のペットの死でも、ペットロス症候群という言葉が使われます。
それでは、具体的にどのような症状が出てくるのでしょうか。よくある症状を精神面、身体面の反応に分けてまとめてみました。参考にしてみてください。
精神面の反応
- 感情が乏しくなる
- 怒り、恐怖、不安、孤独、寂しさ、やるせなさ、罪悪感、自責感、無力感
- 集中力や意欲の低下、抑うつ
身体面の反応
- 睡眠障害
- 食欲障害
- 疲労感、頭痛、肩こり、めまい、動悸
- 消化器症状:胃の不調、便秘、下痢
ペットロスと向き合うときの大原則!
ペットロスと向き合う際に、まず最も大切なことは、生じている不調を「病気」として捉えず「喪失体験に対する正常な反応」として受け止めることです。ペットロス症候群という名前がついていますが、死別に対して精神や身体がさまざまな反応を起こすことは人間としてごく自然の、正常な流れなのです。
たとえば、親や配偶者、親しい友人と死別したばかりの人がいたとします。その人が食欲を落とし、気分が落ち込みがちになっているのを指さして、「あれは病気だ」などと言うでしょうか。おそらくほとんどの人が、そんなことはしないでしょう。死別の相手が人間でもペットでも、大切な相手との死別に伴って生じる心身の反応は何も変わりません。
前述のような症状が出ていて、たとえば仕事や家事についてやる気が起きなかったとしても、それはごく当たり前のことです。それを「何か悪いことが起きているのだ」と捉えない、自分を責めないことが大切です。
ペットロスを乗り越える具体的な方法
では、ペットロスによって生じる反応を「自然な反応」として受け止めた上で、その先にそれらの反応とどう向き合っていったらよいのでしょうか。
感情を出せる場をつくる
まずは、感情を出せる場をつくりましょう。信頼できる人に話を聴いてもらう、似た体験をした人と語り合う、何かに書き出す、カウンセリングをうける、など喪失体験によって生じている感情をありのままに出せる場をつくるとよいでしょう。
感情をありのまま自分の外に出すことは、それだけで心持ちを穏やかにする効果が期待できます。飾らない感情をさらけ出せる場を見つけられるとよいですね。
ペットロスについての知識をつける
ペットロスについての知識をつけることも有効だといわれています。ペットロスによって起きる反応、回復までの過程などについて情報を集め、知識として持っておくと、自分に起きている反応を客観視しやすくなるため、過剰な反応を抑制する効果が期待できます。
臨床心理学の世界では、ペットとの死別だけでなく、大切な人との死別までも含めて、喪失を体験した人に対するケアを「グリーフケア」と呼んでいます。「ペットロス」だけでなく「グリーフケア」もキーワードにして情報を集めると、より広く深い情報が得られるでしょう。
ペットロスを乗り越えようとしている人へ周囲の人ができること
ペットロスを乗り越える際には、反応が生じている本人だけではなく、その周囲の人々の態度も大切になります。
感情を出せる場を提供する
まずは、感情を出せる場を提供するように努めましょう。信頼関係があるのならば、自分が聴き役になるのも1つの方法です。ただし、人のありのままの感情をしっかりと聴くにはスキルが必要です。不本意にもかえって相手を傷つけてしまったり、聴く側の精神的負荷が大きかったりする場合もありますので注意してください。
その他にも、ペットロスを経験した人たちがその体験を語り合うグループが様々な場所で設定されています。そういった会合や、ペットロスなどのグリーフケアを得意とするカウンセラーを紹介するのも有効な選択肢となるでしょう。
無理に励まさない
無理に励まそうとしないことも大切です。励まそうと思い「前を向け!」「乗り越えよう!」などといった言葉を使っても、かえって相手を追い詰めてしまいかねません。あくまでありのまま、自然のままの相手を尊重する姿勢を持ちましょう。
まとめ
ペットロスは決して病気などではなく、死別に伴って生じるのが当然の自然な反応です。まずはそのことを認めるのが大切です。そのうえで、焦らずゆっくりと向き合い、乗り越えていきましょう。そのとき、ひとりの力だけで乗り越える必要はありません。カウンセラーや互助会など、他者の助けをうまく借りることもぜひ検討してみてくださいね。