犬の混合ワクチンには種類がたくさんありますね。どのワクチンを選べば良いのかわからない飼い主の方も多いのではないでしょうか。
今回は、犬の混合ワクチンについてどのような種類や違いがあるのか、また、どのワクチンを選ぶべきかをお伝えいたします。
心配な副作用や費用についても解説していきますので、是非参考にしてみてください。
目次
犬のワクチンの分類
初めに、犬のワクチンの分類についてお伝えします。
犬のワクチンには、法律で義務化されている【狂犬病ワクチン】と、飼い主の任意で接種を行う【任意ワクチン】があります。
今回解説する混合ワクチンは、この任意ワクチンにあたります。
<ワクチンの分類>
義務化ワクチン(狂犬病ワクチン)
狂犬病ワクチンは国の【狂犬病予防法】という法律で接種が義務付けられており、日本で飼育されている3ヵ月齢以上の犬は必ず接種しなければなりません。狂犬病ワクチンは混合ワクチンには含まれませんので、単独での接種が必要です。
任意ワクチン(混合ワクチン)★本記事内容
狂犬病ワクチン以外のワクチンは、飼い主が接種を決める任意ワクチンです。
任意ワクチンは、WSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインである「犬と猫のワクチネーションガイドライン」で、その重要度によって【コアワクチン】と【ノンコアワクチン】に分類され、さらにノンコアワクチンは【推奨】と【非推奨】に分類されます。
参考:https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf
混合ワクチンの種類と違い
現在、混合ワクチンには2種~11種のバリエーションがありますが、11種を取り扱っている動物病院は少ないため、ほとんどの場合2種~10種の中から選択することになります。
下の表は、それぞれの混合ワクチンにどのワクチンが含まれるのかを一覧にしたものです。
<混合ワクチンの種類>
表中のコアワクチンは、世界的に重大と言われる感染症に対するワクチンで、すべての犬が接種すべきワクチンです。ドッグランやペットホテル、ペットサロンなどの利用時に接種証明書の提示が求められることが多いでしょう。
ノンコアワクチンは、環境や生活スタイルによって接種すべきかどうかを決めるワクチンです。ノンコアワクチンのうち犬コロナウイルス感染症ワクチンは、科学的なエビデンスが十分ではないとされているため非推奨となっています。
ワクチンの選び方
上記のように、これだけ種類がある混合ワクチンからどのワクチンを打つのかを選択するのは難しいですよね。ここでは、ワクチンの選択基準について解説します。
通常、室内犬は5種か6種
普通の住宅地で暮らす室内犬の場合は、5種か6種の混合ワクチンが一般的です。
完全室内飼いの犬にはワクチンが必要ないと考える飼い主もいらっしゃいますが、任意ワクチンを打ってない状態では、トリミングサロンやペットホテルなどの公共施設が利用できないことも多いため、注意が必要です。
5種と6種混合ワクチンの違いは、犬コロナウイルス感染症が含まれるかどうかです。
前述の通り、犬コロナウイルス感染症ワクチンは、科学的なエビデンスが十分ではないとされています。打っても感染症を防げるかどうかの確証がないため、多くの場合5種混合ワクチンを打つことになるでしょう。
子犬を多く扱うブリーダーなど犬コロナウイルス感染症のリスクが高い場合は、獣医師によって6種混合ワクチンを提案することもあります。
7種~10種混合ワクチンの違い
6種以下と7種以上の混合ワクチンの違いは、「レプトスピラ感染症」が含まれるかどうかです。獣医師がレプトスピラ感染症のリスクが高いと判断した場合、7種以上のワクチンを打つことがあります。
レプトスピラ症の原因となるレプトスピラという細菌には、様々な亜種があります。7種~10種混合ワクチンの違いは、含まれる亜種の数です。
7種及び8種混合ワクチン⇒ 2種
9種混合ワクチン⇒ 3種
10種混合ワクチン⇒ 4種
の亜種が含まれます。
7種と8種混合ワクチンの違いは、5種と6種混合ワクチンの違いと同様犬コロナウイルス感染症の有無のみです。
また、9種及び10種混合ワクチンに含まれる亜種は、現在日本ではほとんど発生していません。
このような理由から、レプトスピラ感染のリスクのある犬では、7種混合ワクチンを打つことが多いでしょう。
地域の獣医師に提案してもらおう
その地域に住む犬にどのワクチンが必要なのかは、地域の獣医師が一番よく把握しています。
なるべく多くの病気を予防できるため多い種類のワクチンを接種しておいた方が良いように思いますが、そうではありません。種類を多く打つということは、愛犬の身体にとって負担が増えることとなります。
必要なワクチンは是非動物病院で相談してみてください。
ワクチンを打つ頻度は?何歳まで必要?
ワクチンを打つと決めたら、どのような頻度で打つのでしょうか。また、高齢犬にもワクチンは必要なのでしょうか。ここでは、打つ頻度やワクチンが何歳まで必要なのかを解説します。
ワクチンを打つ頻度は?
ワクチンを何回打つかに関しては、多くの動物病院がWSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドライン【犬と猫のワクチネーションガイドライン】に倣って決めています。
参考:https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf
最初のワクチンは、生後6~8週齢で打ちます。このタイミングは移行免疫と言って、母親からもらう免疫が薄れてくる時期です。その後、免疫を確実なものとするため、生後16週以降までに2〜4週間隔での追加を行う【3回接種】が推奨されています。
子犬期に上記の接種を行った場合、成犬は1年に1回の追加接種が一般的です。ペットショップなどで犬を購入する場合は、すでに子犬期のワクチンは済ませてあることがほとんどでしょう。家庭に迎え入れたあと、多くの場合では1年に1回ワクチンを打つことになります。
ただし、混合ワクチンとは別に、年に1回必ず狂犬病ワクチンを打つ必要があるため、こちらを考慮に入れると愛犬には年に2回のワクチン接種が必要なことがほとんどです。
ワクチンは何歳まで必要?
愛犬が高齢になった場合、ワクチンは必要なのでしょうか。
高齢犬でも散歩に出たり、トリミングサロンなどの公共施設を利用したりする場合は、ワクチンを打つことが勧められます。
ただし、7種から5種への変更など、ライフスタイルや愛犬の体調などによって獣医師が判断しますので、獣医師と相談して決めましょう。
ワクチンを打たないとどうなる?
日本では、狂犬病以外のワクチンは義務化されていません。よって、混合ワクチンは打たなくても罰則などはありません。ただし、ここまで解説した通り、トリミングサロンなどの公共施設が使えないことがあります。
なにより、愛犬が感染症にかかるリスクがあがってしまうのが一番の心配です。様子を見つつ、獣医師と相談しながら、狂犬病ワクチン・混合ワクチンを各種年1回打つようにしましょう。
心配な副作用について
ワクチンは薬ですので、副作用が出る可能性もゼロではありません。
一般的にワクチンによる副作用はアレルギー反応であり、接種後数日間は、顔の腫れ、むくみ、接種部位の腫れや痛み、全身の発疹やかゆみ、発熱、活動性の低下、嘔吐、下痢、食欲低下というような症状が出る可能性があります。これらは数日で自然に治癒します。
最も深刻なのはアナフィラキシー反応です。この反応は、概ね接種後1時間以内に現れます。アナフィラキシー反応をおこした場合は命に関わることもあるので、ワクチン接種後は愛犬の様子を観察しましょう。
混合ワクチンの費用相場
気になるワクチンの費用ですが、各動物病院が独自に設定しています。そのため、一概に費用をお伝えすることはできません。ここではおおまかな費用相場のみをお伝えします。
ワクチンの費用は、概ね2種~4種混合ワクチンで3,000円~5,000円程度です。
一般的に選択されることの多い5種混合ワクチンが5,000円~7,000円程度、また7種混合ワクチンが6,000~9,000円程度です。
9種及び10種では1万円以上の設定をしている動物病院が多いようです。
正確な費用に関しては、動物病院に詳細を問い合わせてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では、犬の混合ワクチンについての種類や違い、また、ワクチンの選び方や副作用、費用についても解説しました。
一番大切なのは、獣医師とよく相談して愛犬に必要なワクチンを打つことです。ワクチンをしっかり打って、愛犬を感染症から守りましょう。
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